米FDA 神経線維腫症治療薬Koselugoを承認
公開日時 2020/04/17 04:50
米食品医薬品局(FDA)は4月10日、英アストラゼネカの米法人AstraZeneca Pharmaceuticals LP社の神経線維腫症1型(NF1)治療薬Koselugo(一般名:セルメチニブ)を承認した。FDAは同剤に対して、優先審査、画期的新薬(BT)および希少疾病薬の指定を行った。
Koselugoは、腫瘍の増殖を促していると思われるRAS/MAPKのシグナル伝達経路におけるMEK酵素を阻害するMEK1/2阻害剤。同剤は、NF1を適応としたFDA初の承認薬となった。
適応は、2歳以上の小児における遺伝性疾患である切除不能の叢状神経線維腫(PN)を持つNF1。NF1は、特定の遺伝子の変異あるいは欠損によって引き起こされ、幼児約3000人に1人が罹患していると推定される。同疾患は、皮膚の色素沈着の変化、神経・骨格障害、生涯を通しての良性・悪性腫瘍の発症リスクに特徴づけられる。NF1を持って出生した幼児の30~50%は1つ以上のPNを発症するという。
FDA医薬品評価研究センター(CDER)のRichard Pazdur腫瘍研究センター長兼腫瘍疾患部長代理は、「COVID-19(新型コロナウイルス感染症)パンデミックで日常生活が障害されてきている重要な時に、患者にFDAが希少腫瘍や生命を脅かす疾患の薬剤の開発を優先させていることも知ってもらいたい」と述べた。さらに、「我々は、アンメットメディカルニーズを満たすために医薬品業界に詳細なガイダンスを提供し、規制上の柔軟性を持って取り組んでいる」とコメントした。
アストラゼネカ腫瘍ビジネスユニットのDave Frederickson上級副社長は、PNに対する治療薬が初めて承認されたことを歓迎した。そのうえで、「私は、我々の研究パートナー、NCI(米国立がん研究所)、神経線維腫治療薬加速計画(NTAP:神経線維腫治療薬開発促進団体)、小児腫瘍基金(CTF)および神経線維腫患者団体、特にSPRINT臨床試験に参加した小児、親および医師に謝辞を申し上げる」と述べた。
2017年7月に米メルク社と米国およびカナダ以外の地域でのKoselugoおよび抗がん剤PARP阻害剤のLynparzaについて共同開発・共同商業化の国際的戦略的提携関係を結んでいる。