緊急事態宣言で「医薬品の優先順位付けと欠品時の対応計画策定を」 安定供給へ厚労省が事務連絡
公開日時 2020/04/10 04:52
緊急事態宣言の発出を踏まえ、厚生労働省医政局経済課は4月8日、製薬企業、医薬品卸それぞれに、医薬品の安定供給に向けた対策を要請する事務連絡を発出した。製薬企業には、予期しない長期的な製造や3か月以上の輸入停止などの発生に備える必要性を指摘。必要に応じて関係学会に相談し、「医療上の必要性等を踏まえた優先順位をつけつつ、品目ごとに供給不安・欠品時の対応計画(代替薬等の利用等)を順次策定する」ことを求めた。また、医薬品卸に対しては、急激な需要の増加や品薄など、需要の動きに注視した対応を呼びかけた。
緊急事態宣言発出で、改正された基本的対処方針で厚生労働省は、「医療提供体制を支える医薬品の製造体制を確保し、必要な医療機関に迅速かつ円滑に提供できる体制の確保を進める」ことが明記されている。製薬企業や医薬品卸などは「医療関係者」に含まれており、特に「医薬品の安定供給」に寄与する業務を継続的に実施することが求められている。緊急事態宣言は7都府県が対象となっているが、これらの区域で業務を継続する事業者に「医薬品の輸入業及び製造業」が含まれており、要請に基づいた適切な対応を呼びかけた。
◎代替薬の相談・調整や増産体制確保も
具体的には、製造販売業者には、「各品目の在庫状況、今後の製造の見通し等を随時確認すること」を求める。必要に応じて、▽増産や納入量の調整、複数の製造ラインの確保、▽同一成分の医薬品や同種同効の医薬品などの代替薬の製造販売業者、卸売販売業者との供給の相談・調整―を行うよう要請した。なお、新型コロナウイルス感染症の有効性が報告された薬剤の急激な需要増や、長期処方による需要増、品薄情報などの需要の動きを注視し、必要な在庫量を確保することも求めている。
◎急激な需要増は「必要に応じて使用目的確認を」
医薬品卸に対しては、急激な需要増があった際に、「必要に応じて、発注元の医療機関等に対して使用目的等を確認した上で受注するなど、医薬品の安定確保のために必要な措置を講じる」ことを求めている。
なお、事務連絡は、「新型コロナウイルスに関連した感染症発生に伴う医薬品の安定供給について」で、日本製薬団体連合会(日薬連)、米国研究製薬工業協会(PhRMA)、欧州製薬団体連合会(EFPIA)と、日本医薬品卸売業連合会(卸連)、日本ジェネリック医薬品販社協会宛に4月8日付で発出された。