厚労省 添付文書改訂を指示 DAA投与後のワルファリンなど併用薬の用量調節を注意喚起
公開日時 2020/02/26 04:51
厚生労働省医薬・生活衛生局は2月25日、重大な副作用などが判明した医療用医薬品の添付文書を改訂するよう、日本製薬団体連合会に医薬安全対策課長通知で指示した。C型慢性肝炎などに用いる直接型抗ウイルス薬(DAA)9製品について、DAA投与開始後にワルファリン、タクロリムス、インスリンなどの併用薬の用量調節が必要となる可能性が複数の文献で報告されていることなどから、「重要な基本的注意」の項で、使用中の併用薬の用量調節が必要になる可能性がある旨の注意喚起を追記する。
また、大塚製薬の抗パーキンソン病薬ニュープロパッチ(一般名:ロチゴチン)について、「重大な副作用」の項に「横紋筋融解症」を追記する。
添付文書の改訂指示があった医薬品は次の通り。
▽ニュープロ(一般名:ロチゴチン、製造販売元:大塚製薬)
薬効分類:116 抗パーキンソン剤
119 その他の中枢神経系用薬
指示概要:「重大な副作用」の項に「横紋筋融解症」を追記。
過去3年間の国内報告数のうち、医薬品と事象との因果関係が否定できない症例は3例。医薬品と事象による死亡との因果関係が否定できない症例は0例。
改訂理由:国内症例が集積したことから、専門委員の意見も踏まえ、改訂することが適切と判断した。
▽ザイロリック(一般名:アロプリノール、製造販売元:グラクソ・スミスクライン)他
薬効分類:394 痛風治療剤
指示概要:「重大な副作用」の項に「無菌性髄膜炎」を追記。
過去3年間の国内報告数のうち、医薬品と事象との因果関係が否定できない症例は0例。
改訂理由:国内症例が集積したことから、専門委員の意見も踏まえ、改訂することが適切と判断した。
▽トリセノックス(一般名:三酸化二ヒ素、製造販売元:日本新薬)
薬効分類:429 その他の腫瘍用薬
指示概要:「重大な副作用」の項に「ウェルニッケ脳症」を追記。
過去3年間の国内報告数のうち、医薬品と事象との因果関係が否定できない症例は0例。
改訂理由:海外症例が集積したことから、専門委員の意見も踏まえ、改訂することが適切と判断した。なお、国内症例は集積していないものの、安全性プロファイルに国内外の民族差があるとの知見は現時点で得られていないこと、及び日本における効能・効果は「再発又は難治性の急性前骨髄球性白血病」であり、国内で投与される患者数は極めて少ないことを考慮し、海外症例に基づき改訂することが適切と判断した。
▽ダクルインザ(一般名:ダクラタスビル塩酸塩、製造販売元:ブリストル・マイヤーズスクイブ)
▽スンベプラ(アスナプレビル、ブリストル・マイヤーズスクイブ)
▽ソバルディ(ソホスブビル、ギリアド・サイエンシズ)
▽ハーボニ―(レジパスビルアセトン付加物/ソホスブビル、ギリアド・サイエンシズ)
▽エレルサ(エルバスビル、MSD)
▽グラジナ(グラゾプレビル水和物、MSD)
▽ジメンシー(ダクラタスビル塩酸塩/アスナプレビル/べクラブビル塩酸塩、ブリストル・マイヤーズスクイブ)
▽マヴィレット(グレカプレビル水和物/ピブレンタスビル、アッヴィ合同会社)
▽エプクルーサ(ソホスブビル/ベルパタスビル、ギリアド・サイエンシズ)
薬効分類:625 抗ウイルス剤
指示概要:「重要な基本的注意」の項に、使用中の併用薬(ワルファリン、タクロリムス等の肝臓で代謝される治療域の狭い薬剤や糖尿病治療薬)の用量調節が必要になる可能性がある旨、当該薬剤を使用している患者に投与を開始する場合の注意喚起を追記する。
過去3年間の国内報告数のうち、医薬品と事象との因果関係が否定できない症例は0例。
改訂理由:C型慢性肝炎又はC型代償性若しくは非代償性肝硬変に対する直接型抗ウイルス薬を投与開始後、ワルファリン、タクロリムス、インスリン等の併用薬の用量調節が必要になる可能性が複数の文献にて報告されていること等から、専門委員の意見も踏まえ、改訂することが適切と判断した。なお、本検討に関連し、MID-NETを用いた調査を行った。
▽ネイリン(一般名:ホスラブコナゾール L-リシンエタノール付加物、製造販売元:佐藤製薬)
薬効分類:629 その他の化学療法剤
指示概要:「重大な副作用」の項に「多形紅斑」を追記。
過去3年間の国内報告数のうち、医薬品と事象との因果関係が否定できない症例は5例。医薬品と事象による死亡との因果関係が否定できない症例は0例。
改訂理由:国内症例が集積したことから、専門委員の意見も踏まえ、改訂することが適切と判断した。
▽アラグリオ(一般名:アミノレブリン酸塩酸塩、製造販売元:SBIファーマ)
▽アラベル(アミノレブリン酸塩酸塩、ノーベルファーマ)
薬効分類:729 その他の診断用薬
指示概要:「重大な副作用」の項に「低血圧」を追記。
過去3年間の国内報告数のうち、アラグリオと事象との因果関係が否定できない症例は15例。医薬品と事象による死亡との因果関係が否定できない症例は0例。
過去3年間の国内報告数のうち、アラベルと事象との因果関係が否定できない症例は0例。
改訂理由:国内症例が集積したことから、専門委員の意見も踏まえ、改訂することが適切と判断した。