大日本住友・野村社長「糖尿病でナンバーワン」 ソリューション活用で価値最大化
公開日時 2019/08/08 03:54
大日本住友製薬の野村博代表取締役社長は8月7日、都内で記者会見に臨み、「国内糖尿病領域ナンバーワンメーカーとして、医療関係者から信頼される医療パートナーとなることを目指す」と述べた。ノバルティスファーマのDPP-4阻害薬・エクアファミリーをラインアップに加えることで、メトグルコをはじめとした同社のラインアップが拡充される。国内で糖尿病領域売上高トップに立つことに加え、同社のフロンティア領域でも最新テクノロジーを取り入れたソリューションを活かし、治療アウトカムや患者満足度向上を実現したい考え。医薬品だけでなく、患者満足度を高めることで、価値最大化を目指す。
次期中期経営計画(2023~27年度)で国内売上高収益2000億円達成を掲げる同社。精神神経領域(CNS)に強みを持ち、再生・細胞医療など革新的治療にも期待がかかる。一方で、戦略を実行するカギを握るのが、糖尿病領域だ。同社は今年5月、ノバルティスファーマと国内の糖尿病治療薬の共同プロモーション・販売提携契約を締結した。エクアと、合剤のエクメットについて7月からプロモーションを開始し、11月からは同社が流通を担う。
同社の糖尿病領域のラインアップは、DPP-4阻害薬のエクアファミリーを加えることで、メトグルコを基盤に、GLP-1受容体作動薬のトルリシティ、グリニド薬のシュアポスト、SU薬のグリミクロンと作用機序の異なるラインアップを幅広く有することになる。国内売上高も、エクアファミリーの500億円超(薬価ベース)を加えることでトップに立つ。21年度には、新規作用機序薬として期待されるimegliminの上市も予定する。
◎「ドクターにMRを指名していただくベースができた」
野村社長は、「糖尿病に関してはドクターから相談したいときに、大日本住友製薬のMRを指名していただく。その一つのベースができた。あとは、ひとりひとりのMRの努力だ」と述べ、同領域で存在感を発揮することに自信をみせた。同社は、糖尿病領域の研究開発は進めていないが、同社の製品力とMR力を基盤に、糖尿病性腎症の発症抑制を目指す新薬開発も活発化する中で販売提携などについても意欲をみせた。
◎フロンティア事業のデバイス融合目指す
さらに、中期経営計画で柱の一つに位置付けた、医薬品を超えたヘルスケア領域に取り組む“フロンティア事業”とのシナジー効果も見込む。野村社長は、「糖尿病領域は薬だけでなくデバイスとの組み合わせが考えられる。そこを含めて我々としては考えていきたい」との考えを表明した。ただ、欧米メガファーマなどを中心にデバイスやデジタルソリューションへの投資が活発化するなかで、「デバイスを含めて他社もやっている。後発になる可能性もあるので、そこは慎重に考えたい」とも述べた。なお、同社は7月、フロンティア事業の一環として、痛みの少ない採血デバイスの開発を手がける米スタートアップ企業Drawbridge Healthに数百万ドルを出資する契約を結んでいる。
このほか、CNS領域については、世界初の抗精神病薬のテープ製剤であるロナセンテープの製造販売承認を取得し、19年度上期の上市予定であることを紹介。さらに、18年度に北米で1845億円を売上げる統合失調症治療薬・ラツーダ(一般名:ルラシドン)を7月に国内製造販売承認申請を行ったことも説明し、精神科領域担当MR約350人を中心とした営業基盤を活用し、注力する考えも示した。