アルフレッサホールディングス(HD)は3月14日、厳格な温度管理が必要な特殊薬や再生医療等製品について、個々の製品にRFIDタグを貼付し、製薬企業の出荷から患者への投与までの流通管理が行えるプラットフォームの実用化に向け検討すると発表した。子会社のアルフレッサと、薬用保冷庫に強いPHC、商取引情報の交換、クラウドサービスなどシステム構築に強い富士通エフ・アイ・ピーの3社が共同で取り組む。20年度以降の実用化を目指す。
このスキームの主な対象は、スペシャリティ薬、再生医療等製品。例えば自家培養細胞の場合は、冷蔵温度などの厳格な品質管理に加え、採取した患者個別の情報の管理が必須となる。そのため管理の範囲は卸の物流センターから医療施設への納品までは不十分。製薬企業の出荷から医薬品卸、医療機関、患者の投与時まで一気通貫の品質・情報管理を行える流通体制が必要になる。GDPもまた製品出荷後の製品の厳格な品質管理を強く求めている。それら課題に応えるプラットフォームを3社で構築する。3社は11日に検討のための基本合意契約を締結した。
アルフレッサHDによると、1年かけて検討する。実証実験を経て、実際のサービス提供は20年度以降を予定する。3社の協業により「製薬企業から患者への投薬に至るまでの特殊医薬品の流通経路をシームレスに管理するための、新たな流通管理ソリューションサービスの提供を目指す」としている。
同様の取り組みはメディパルHDが12日に実証実験を行うと発表したばかり。背景には、GDPの国内導入で製品出荷後の製品の品質管理が厳格に求められる中、温度管理を高精度に行う必要のあるバイオ医薬品の市場拡大が見込まれることがある。その需要を、精度の高い流通管理体制を構築することで、取り込む狙いがある。RFIDは個別製品の使用実績、在庫管理を行え、そこから得られるデータの活用可能性が高い。バイオ薬の市場拡大を睨んだ動きが医薬品卸の中で本格化してきた。