卸連・会員企業17年度業績 売上0.08%増 販管費削減で利益確保 MS数1万6000人台に
公開日時 2018/08/09 03:50
日本医薬品卸売業連合会(卸連)が8月8日に発表した会員企業の17年度業績概況(回答53社)によると、売上高は0.08%増で、薬価改定ではない年では最も低い伸びとなった。医療用薬を中心に事業を行っている会員企業44社ではマイナス0.17%だった。C型肝炎治療薬の大幅減収、長期収載品から後発医薬品への切り替え加速などが影響した。今後の収益環境の悪化を見越し、人件費を含む販管費の削減があったことから、営業利益率は0.1ポイント改善の0.93%と、利益確保への動きを強めていることが窺えた。MS数削減も寄与しており、卸連のまとめによると、6月時点のMS数は前年同期より490人減の1万6612人となった。
調査は72社を対象に行い、53社から回答があった(回答率73.61%)。売上高は、医療用薬を中心に事業を行っている会員企業の減収を、一般薬を中心に事業を行っている会員企業の3.31%増収で、微増収を確保した格好。医療用薬卸は、インバウンド消費やドラッグストア向けの売上が好調な大衆薬卸とは対照的な業績となった。
売上総利益率は6.72%と横ばい。卸連によると、単品単価取引が進み、価格が改善されたためと見ている。販管費率は0.1ポイント減の5.79%。医療用薬を中心とした会員企業では販管費、人件費は、それぞれ0.28%、0.84%減らした。従業員数のうち内勤者の割合は増えた一方で、外勤者は3.78ポイント減の39.59%まで落ち込んだ。卸連は、物流センター投資により内勤要員が増えた一方で、MSが減少したためと説明。MS数は減少の一途で、卸連によると、6月時点のMS数は前年同期より490人減で1万6000人台となった。
結果として、営業利益率は0.93%と0.1ポイント改善した。ほぼ横ばいの売上を粗利率の改善や人件費を含む販管費の削減で利益を確保した格好だが、営業利益率は1%を下回る結果となった。
今回の結果について鈴木賢会長は、発表会見で「利益の確保に変化が出てきた。各卸が販管費を圧縮し営業利益率を維持している状況だったのではないか」との見方を示した。