IFPMAコード改定 ポストイットやカレンダーなど世界的に配布禁止 19年1月から製薬協加盟会社も禁止へ
公開日時 2018/07/24 03:52
国際製薬団体連合会(IFPMA)は2019年1月付で、改定版コード・オブ・プラクティスを施行し、医療関係者へのポストイットやカレンダー、スケジュール帳など「職場で使用するような販売物品などの提供」を世界的に禁止することが明らかになった。これまで対象から除外されていた香典や月餅も禁止となり、いわゆる医療関係者への“ギフト”の提供は全面的に禁止されることになる。IFPMAはコードの遵守が加盟要件となっており、加盟する日本製薬工業協会(製薬協)は、会員各社にコードの遵守を促す考え。実質的に製薬協加盟会社では19年1月から医療関係者へのギフト提供は行えないことになる(本誌一部既報、関連記事)。
◎コード改定は検討中 製薬協
IFPMAのThomas Cueni理事長は7月19日、都内で開かれたAPECビジネス・エシックス・フォーラム(東京会議、7月18~20日)で、改定版IFPMAコードについて紹介した。改定版コードは、欧米の現在の指針と合致したもので、医療用医薬品のための贈り物や販促物品の提供を世界的に禁止することになる。月餅や香典は、「国民的、文化的または宗教的な行事における贈り物の習慣」として例外的に提供が認められてきたが、改定版ではこの例外規定が削除される。
製薬協では香典や供花などは、プロモーションコードや、医療用医薬品製造販売業公正競争規約(公正競争規約)に則った適切な範囲での運用を認めている。製薬協はプロモーションコードなどの改定について「検討中」としており、公正競争規約との整合性も踏まえて検討が進められることになりそうだ。ただ、実質的にはIFPMAコードが施行されたタイミングで、加盟会社にはギフト禁止の遵守が求められる。
◎Cueni理事長「関係を矮小化するメッセージを送ることになる」
Cueni理事長は今改定について、「少額物品や販促物品にはほとんど価値はない」としたうえで、「企業の担当者と医療関係者の間に存在しなければならない大切なプロフェッショナリズムに基づいた関係を矮小化するような間違ったメッセージを送ることになる」と警鐘を鳴らし、意義を強調した。スポーツの観戦チケットの配布が過去には行われていたことを引き合いに、「現代の急速に変化する世界では、数年前に許容されていた商習慣はもはや適切でなくなる可能性がある」との認識を示し、コードの定期的な更新が必要との見方も示した。
「企業は高い評判を得るには時間を要するが、その評判は一晩で失われることがある。そしてこのような会社1社のために、業界全体の評判が傷つくことがある」ともCueni理事長は指摘。「倫理的にビジネスを行うことは、常に相互に関連しあうビジネス環境における不変の課題だ」と続けた。利益を目的に不適切な行為に走る例もあるが、株式市場には6.4%の倫理プレミアがあるとの試算も示し、「倫理は最終的な収益にも影響をもたらす」ことも強調した。