厚労省検討会 緩和ケアチームの質向上で実地研修の有用性示す
公開日時 2018/05/28 03:50
厚生労働省の「がん等における緩和ケアの更なる推進に関する検討会」は5月23日、遺族調査などの知見を活かし、患者、家族の苦痛の軽減を目指す戦略案を提示した。調査結果と緩和ケアチームの育成に向けた取り組みの成果を還元しあうとしている。委員からは、外来での緩和ケアの必要性を指摘する声や、ケアの量だけでなく、質を評価する仕組みを導入すべきなどの声が寄せられた。厚労省は、委員の意見を踏まえ、予算に反映する考え。
検討会では、診療機能の高いチームが他病院のチームメンバーを受け入れる実地研修の有用性を示すデータが報告された。このうち、17年度の研修に参加した35施設に対し、半年後に効果を尋ねた問いでは、26施設が「活動内容に対する自身や態度の向上」に該当すると回答。一定の効果があったと報告した。
◎遺族調査「協力に同意」は38% 調査の実行可能性を確認
参考人の国立がん研究センターがん対策情報センターの加藤雅志部長は、終末期がん患者の医療の質を把握するための調査の前段階として行ったアンケート結果の一部を報告。患者の遺族に配布した4812枚中、協力に同意すると回答があったのは1140枚(38%)で、調査の実行可能性が確認できたとした。
検討会を受けて、佐々木昌弘がん・疾病対策課長は、「緩和ケアの答えを出せるのは患者しかいない。この戦略で届くのか改めて整理し、第3期がん対策基本計画の残りの期間のなかで実行していきたい」と述べた。
緩和ケアチームをめぐっては、新規の依頼件数など施設間の取り組みや、拠点病院であっても、チームに所属する医師や薬剤師など、職種ごとの配置に格差があることが課題として指摘されていた。