厚労省検討委 心不全患者にも緩和ケア推進を 地域で多職種連携の必要性高まる
公開日時 2018/04/09 03:50
厚労省の「循環器疾患の患者に対する緩和ケア体制のあり方に関するワーキンググループ」は4月6日、心不全患者にも緩和ケアを推進すべきとする報告書案を大筋で了承した。心不全患者も、がん患者と同様に、身体的・精神的苦痛や社会生活上の不安などに対して全人的なケアが必要になる。そのため、地域において医師や看護師、薬剤師などの多職種連携の構築、さらにはかかりつけ医と心不全の治療の多職種専門チーム、緩和ケアチームが連携する必要性を指摘した。
緩和ケアをめぐっては、がん以外の疾患に関しては、医療提供側も患者自身も認識が低く、ケアの体制も構築されていないのが現状だ。一方で、2014年のWHO の報告によると、循環器疾患は緩和ケアを必要とする疾患のトップとなっている。国内でも心不全の患者数は増加傾向で、特に75歳以上で、複数の疾患を合併する高齢者が多い。WGでは、心不全を「すべての心疾患に共通した終末的な病態」に位置付け、求められる緩和ケアの在り方を検討した。
◎緩和ケアチーム、心不全多職種チーム、かかりつけ医が連携を
心不全は増悪と寛解を繰り返しながら、徐々に身体機能が悪化する特徴をもつ。報告書案では、緩和ケアは末期だけでなく、疾患の初期段階から治療と並行して提供すべきとした。
循環器疾患の治療は、地域の診療所や中小病院が提供することも多く、地域を主体に考える必要性を指摘。再発や再入院を予防するためには、治療だけでなく、生活や食事、服薬指導などの患者教育、運動療法など管理すべきポイントは多岐にわたる。そのため、医師、看護師、薬剤師、理学療法士、栄養士、医療ソーシャルワーカー、保健師など多職種連携が必要とした。
院内での緩和ケアチームと、心不全での多職種連携チームが連携に加え、院内に緩和ケアチームがない場合には地域で連携する必要性も指摘。これに、日常診療に当たるかかりつけ医をあわせた3者が、地域の実状にあわせて有機的に連携することを求めた。
そのほか、学会などを通じた医療従事者の人材の育成や、緩和ケアチームがかかりつけ医等の医療機関をサポートできる体制の整備なども求めている。