MSD 抗PD-1抗体キイトルーダ 申請中の尿路上皮がん、優先審査に指定
公開日時 2017/07/18 03:50
MSDはこのほど、抗PD-1抗体キイトルーダ(一般名:ベムブロリズマブ(遺伝子組換え))の局所進行性または転移性の尿路上皮がんの効能・効果について、厚労省から優先審査に指定されたと発表した。同剤のこの効能・効果について、同社は今年4月28日に承認申請している。
尿路上皮がんは尿路上皮から生じる腫瘍の総称で、膀胱がん、腎盂がん、尿管がん、尿道がんを含む。尿路上皮がんのうち膀胱がんが大部分を占め、日本の膀胱がん患者の推定総患者数(有病者数)は約6万6000人、推定新規患者数(罹患者数、15年)は約2万1000人で、罹患率は増加の一途をたどっている。
キイトルーダは日本で、根治切除不能な悪性黒色腫、PD-L1陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんの効能・効果で承認され、今年2月15日から発売している。
キイトルーダの5月5日現在の国内開発パイプラインをみると、再発または難治性の古典的ホジキンリンパ腫が申請中(16年12月)となっているほか、フェーズ3に乳がん、胃がん、頭頸部がん、肝細胞がん、多発性骨髄腫、食道がん、腎細胞がん、大腸がん――が、フェーズ2に卵巣がん、前立腺がん――がある。
キイトルーダはT細胞に主に発現する受容体であるPD-1と、腫瘍細胞に発現するリガンド(=特定の受容体に特異的に結合する物質)PD-L1およびPD-L2の相互作用を阻害する抗PD-1抗体。キイトルーダはPD-1(受容体)に結合して、この受容体とリガンドとの結合を阻害することで、腫瘍細胞のPD-1経路を介する抗腫瘍免疫応答の阻害を解除する。