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【World Topics】痛い注射、痛くない注射

公開日時 2016/12/26 03:50

インフルエンザや肺炎の予防接種の季節である。寒くなる前に、流行する前に受けないと予防効果はないと言われながら、なかなか腰が上がらない人が多い。注射は痛いから嫌だというのも 理由の一つだ。最近の技術進歩は注射針を大幅に改良。 注射の痛みも大きく軽減されている。


だが。針の改良によっても痛みを解消できない予防接種もある。誰もが痛いという予防接種には、たとえばHPV (A型B型肝炎混合) やDTaP (ジフテリア、破傷風、百日咳の3種混合)などがある。米国CDCが実施した調査研究によってもこれらの予防接種が他の予防接種より痛みや不快感の訴えが大きいことが明らかになっている。症状はおもに注射を受けた部位の周辺の筋肉の痛み、筋力の低下や疲労感で、これらは数日間継続する。


予防接種は人工的に軽い感染を起こさせるものであるから、痛みや不快感をひきおこすのはいわば当然である。だが、なぜある種の予防接種は痛みや不快感が大きく、別の予防接種はさほどでもないのか? 疫学者の間にも定説がないのだという。


原因はワクチンに使われている補助剤成分(FDAが承認している補助剤はアルミニウム塩とモノホスホリスリピドA)の違いだろうと推測するのはCDCの研究者Dr. Nancy Messonnierである。予防接に限らず、注射薬に用いられる補助成分が時により人によって 問題を起こす。これを回避する為に、注射ではなく皮膚に貼り付けるパッチを用いる方法などが検討されているが、実用化にはまだ距離があるという。


当分は続きそうな、時に痛い予防接種。CDCの専門家が進める痛みの予防策は「注射の針が刺さる時に気を散らしておく」こと。例えばテレビを見るとか、誰かと話をするとか。確かに米国では医師も看護師も注射をする時には必ずずっと患者に話しかけている。カイザーのインフルエンザ予防接種センターにはどこもテレビが置かれている、なるほど、そういう訳だったのか。(医療ジャーナリスト 西村由美子)

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