厚労省・武田医薬局長 流通・プロモーションへの公的関与で検討の意向 地域包括ケア・GE80%時代に合わせ
公開日時 2016/11/11 03:52
厚労省の武田俊彦医薬・生活衛生局長は11月10日、日本医薬品卸売業連合会主催のセミナーに出席し、地域包括ケアが推進され、後発医薬品(GE)が80%を占める市場が到来する中、医薬品流通、プロモーションのあり方は変わらざるを得ないとして「プロモーションを含めた流通全体への公的な関与の仕方について議論を始められればと考えている」との意向を表明した。テーマには医薬品の流通、プロモーション、適正使用など安全対策を挙げた。
これは、卸連創立75周年記念セミナーでの座談会「医薬品卸、これまでの75年と今年の展望」で話したもの。武田局長は、医療費の適正化が迫られている中で、「各メーカーが果たしている役割を卸に統合することで、全体的なコストが下げられるのではないかという話も出てくるのだと思う」とし、それらを念頭に同省として「まだまだやれることはある」との認識を示した。
その上で、地域包括ケアの中では、病院を重視した新薬メーカーのプロモーションは時代に合わないとし、在宅医療を視野に入れた地域での医薬品の適正使用に活動の軸を移すべきと強調。「薬で最も困っているのは外来、在宅の患者さん。悪戦苦闘しているのは患者本人、その家族、ヘルパー、ケアマネの方々。薬のことが分からない、教えてくれない、誰も講演会に来てと言ってくれない。そういうところを見直していかなければ、メーカー、卸はプロモーション、情報伝達の役割を果たしたことにならないのではないか。これだけ世の中が変わっているのだから、プロモーションのやり方も変わらないといけない」と指摘した。
現場感覚の高さはMRよりMSにあるとして、一案として「メーカーの方を卸に出向させて、地域の実際を学んでもらう。それが皆のためにもなる。地域の顔が見える関係、地域の医師やケアマネを知るよい機会だと思う。メーカーの方々には抵抗はあると思うが、最前線は卸にある」と述べた。
GEメーカーに対しても「MRを多く持つ意義は次第になくなってくる」との見方を示し、「メーカーが担っている機能はどんどん卸に移すことが期待される」と話した。
武田局長は、「GE80%時代及び地域包括ケア時代の流通、プロモーション、適正使用のあり方、ぜひ期待したいところ」と呼びかけた。
エーザイ・内藤CEO 介護施設への薬剤供給・適正使用の改善必要
エーザイの内藤晴夫CEOは、座談会に出席し、介護施設への薬剤の供給、適正使用を課題に挙げた。
内藤氏は「最新の薬剤が必要な人に届けるドラッグアクセスがしっかり解決されているのかが、流通を含め医薬品産業に対し問いかけられている課題」とし、この課題は途上国だけでなく、日本の課題でもあると指摘。老健施設やサービス付高齢者住宅、介護型療養施設を挙げ、「必要な薬剤が十分に届けられているのか。一部認知症の薬剤はほとんど使われず、症状を悪化させる事態が起きている」と、共に改善に取り組むことを呼びかけた。そのため多職種連携の支援活動が必要だとし、MRとMSの協業が重要だとした。