副作用被害救済の不支給理由 3割が不適正使用 ラミクタールに多く
公開日時 2016/10/13 03:50
厚労省医薬・生活衛生局がまとめた2011年度~15年度の5年間の医薬品副作用被害救済制度の運用状況によると、救済給付が不支給と決定された理由の31%(308件)は、医薬品の「使用目的または使用方法が適正とは認められない」ためだった。どの薬剤によるものか見たところ39%(119件)が、てんかんなどの治療に用いるラミクタール(一般名:ラモトリギン、製造販売:グラクソ・スミスクライン)で、定められた用法・用量より早く増量したり、投与間隔が守られていなかったりしたケースが見られた。
5年間で救済給付の支給または不支給の決定件数は6469件で、支給は84%の5466件、不支給は16%の1003件だった。使用方法が適正と認められなかった事例が多かったラミクタールは、てんかん、双極性障害の適応があり、それぞれ単剤療法、併用療法によって用法・用量が異なり、使用方法が複雑。しかし、用法・用量を超えて投与した場合に皮膚障害の発現率が高くなることが知られ、重篤化のおそれもあることから、過去にもメーカー、厚労省が医療従事者に注意喚起してきた。
同省は「適正な使用とは認められず不支給となった事例は、未だに多く報告されている。これらの不適正使用が理由で救済されなかった事例の多くは、投与初期の用量が過量、あるいは増量の間隔を守らずに投与されていた」として、改めて注意を呼びかけた。
5年間で、使用方法が適正と認められなかった事例が多い薬剤としてラミクタール(119件)に次いで多かったのは、甲状腺機能亢進症の治療薬メルカゾール(チアマゾール、あすか製薬)で21件。無顆粒球症の重篤化を防ぐため添付文書で定めている定期的な血液検査が未実施だったケースが見られた。
これは10月11日に公表した「医薬品・医療機器等安全性情報No.337」で明らかにしたもの。医薬品副作用被害救済制度は、医薬品が適正に使用されたにもかかわらず副作用が発生し、それによる健康被害を受けた場合に医療費などを給付するもので、死亡した場合は遺族年金が支給される。