革新的医薬品創出の官民対話WG 次世代ICT技術の創薬応用など業界側が議論求める
公開日時 2016/09/23 03:52
医薬品業界と行政庁の代表による第1回「革新的医薬品創出のための官民対話WG」が9月21日、東京都内で開催され、今後の進め方についてディスカッションした。業界側は官民対話における意見交換事項の候補として、次世代ICT技術の創薬応用、臨床研究・治験環境の整備などをあげた。このほかバイオベンチャーの育成、研究開発税制、高額薬剤への対応などを関心事項・懸案事項の例として掲げ、「官民で全体像を共有することで、課題と相互の役割を再確認しつつ、一体的な施策の推進に向けた議論をお願いしたい」と要望した。
官民対話WGには、業界側から、日薬連、製薬協、米国研究製薬工業協会(PhRMA)、欧州製薬団体連合会(EFPIA)の代表が出席。行政庁からは、厚労省の医政局、医薬・生活衛生局、保険局の各局長のほか、文科省、経産省、内閣府、内閣官房の担当部局と、AMED、PMDAの代表が出席した。
業界側が示した官民対話における意見交換事項の候補は、①次世代ICT技術の創薬応用、②AMEDの機能拡大・強化、③臨床研究・治験環境整備、④医薬品の価値-の4項目。このほか業界関心事項・懸案事項例として、バイオベンチャー育成、国際展開の推進・規制調和、知的財産権の保護、研究開発税制、高額な薬剤への対応-をあげた。
◎業界側は医療ビッグデータ活用、疾患レジストリに期待
日薬連と製薬協は「次世代ICT技術の創薬応用」を意見交換事項の候補にした理由について、新規ターゲット探索や治療薬の創出、研究期間・リソースの短縮などに健康・医療ビッグデータは大きな力となると説明。改正個人情報保護法に伴う課題等もあるが、民間企業の利活用が極力進むよう、官民一体での推進をいただきたいと強調した。
PhRMAは「研究開発を加速するための環境整備」として、臨床研究・試験をグローバルレベルで進めるためには、疾患レジストリ、クリニカル・イノベーション・ネットワーク(CIN)の整備が望まれると指摘した。特に疾患レジストリについては、医薬品のリスク管理にも応用でき、革新的な医薬品の安全性の担保の観点からも必要性があると説明した。さらに、すでに再生医療等製品に導入されている「条件及び期限付承認制度」の医薬品への拡大や、代替エンドポイントにもとづきアンメットメディカルニーズの高い重篤疾患の治療薬を速やかに承認する米国の「Accelerated Approval」と同様の制度の導入を検討すべきとした。
EFPIAは、政府と業界が共同のワーキンググループを設立し、保健医療2035で提案された施策の実現など、中期的な計画を立案するよう求めた。また、今後上市される革新的製品について協議し、その中期的な財政インパクトについて討議する「ホライゾン・スキャニング(Horizon Scanning)」の実施も検討すべきと提案した。そのほか治療アウトカムにフォーカスした医療システムの構築を目指すプロジェクト例「Big Data for Better Outcome」を提案。ビッグデータとディープデータの活用は医療のアウトカムを改善する機会を提供すると指摘した。
◎先駆け審査指定制度・第2次募集 実施周知は10月初頭
これに対し行政庁側からは、2017年度予算概算要求の概要が各省部局から報告された。このほか先駆け審査指定制度(医薬品)の第2次募集スケジュール案が報告され、実施の周知(通知発出)は10月初頭、指定申請は通知発出日~11月下旬、対象品目の指定は17年3月中とした。なお、申請品目の数や申請内容により延長もあるとしている。