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【World Topics】鎮痛剤の処方、低下の兆し?

公開日時 2016/06/13 03:50

米国では処方されたOpioid剤の過剰摂取による事故死が大きな問題となり、FDAがこの事態に対してパンデミック宣言を発したことはすでに本コラムでもレポートした。そのOpioid鎮痛剤の処方数が、発売後20年にして 初めて 減少傾向に転じたと報告され、大きな話題となっている。

全米規模の医療統計で知られるIMS Healthの調査報告によれば。発売以来の処方数のピークであった2012年と比べ、2015年には全米の処方数の合計は12%減少。処方の減少は全米各州に共通の傾向で、サウスダコタ州を除く49州で減少しているという(サウスダコタ州では依然として増加中)。

2013年から15年まで3年続けて処方箋数が減少していることから、FDAは、ようやく医師はじめ医療専門職へのキャンペーンが功を奏しはじめ、パンデミックというべき現象はようやく峠を越し、沈静化に向かうのではないかと語っている。

しかし、パンデミック宣言の原因となったオピオイドなどの鎮痛剤の過剰摂取による事故死者数は依然として増加しており、連邦政府の統計によれば、2014年には全米で2万8,000人が依然として薬物事故で命を落としている。

実際、オピオイドなどの鎮痛剤の処方は決して特殊なケースに限られる話ではない。米国では、一般の健康な ティーンエイジャーもオピオイドなど強い鎮痛剤に接する機会が必ずある。例えば大学入学前に(要するにまだ親の歯科保険の扶養家族でいるうちに)行われることの多い「親知らずの抜歯」だ。 この時には、かなり強い鎮痛剤が、 大量に処方される。最近では、歯科でもティーンエイジャーなどには特にオピオイドを避け、他の鎮痛剤を処方する医師が増えているという。(医療ジャーナリスト 西村由美子)

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