田辺三菱 アルツハイマー型認知症「MT-4666」の国内フェーズ3中止 副作用で
公開日時 2015/09/16 03:51
田辺三菱製薬は9月15日、アルツハイマー型認知症治療薬として開発していた「MT-4666」(国際一般名:encenicline)について、日本での国際共同フェーズ3を中止すると発表した。既に投薬が完了している国内フェーズ2の結果を踏まえて、開発を継続するか否かを判断する。同剤は、戦略領域の1つである中枢神経領域の将来の主力品として位置付けていた。
発表によると、導出元のフォーラムファーマシューティカルズが実施していた同剤の海外での国際共同フェーズ3に対し、米FDA(医薬食品局)が、重篤な消化器系副作用が報告されたことを受けて実施保留を命令。田辺三菱によると、日本の治験でも同様の症例が確認されており、当局と相談の上で国内フェーズ3の中止を判断した。問題となった副作用がどのような症状で、どの程度の規模で発現したのかなど詳細は開示していない。
MT-4666はα7ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニスト作用を有する1日1回投与タイプの経口薬として開発していた。国際共同フェーズ3は、米国、欧州、日本およびその他の地域で、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬などで治療中または治療歴のある軽度~中等度アルツハイマー型認知症患者約1600人が対象。欧米などが参加するフェーズ3はフォーラム社が主導し、日本では田辺三菱が実施していた。
「MT-4666」について田辺三菱は2009年3月、現在のフォーラム社(当時エンヴィヴォ社)から、日本を含むアジア地域における独占的研究・開発・販売および製造権を取得し、開発を進めてきた。今回フェーズ3を中止したが、今後の開発の判断をいつ行うのは明かしていない。