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厚労省・武田審議官 流通非協力な企業は新薬創出加算から除外検討も 未来研提言受け

公開日時 2015/08/17 03:52

厚生労働省の武田俊彦大臣官房審議官(医療保険担当)は本誌取材に対し、いわゆるカテゴリーチェンジが医薬品卸の経営を圧迫していることを受け、「流通に非協力な企業については、新薬創出加算の対象から除外するなどの対応も検討すべきだ」との考えを示した。医薬品卸の関係者有志10人で構成された医薬品流通未来研究会がまとめた提言を踏まえたもの。提言では、医薬品の収益状況として、大手5卸における販売額上位5社のカテゴリー別の収益状況を示しており、新薬創出加算品での利益率は外資系企業では1%に届かず、後発医薬品(GE)は不採算に陥っていることが示されている。


医薬品流通未来研究会(代表・藤長義二氏)のまとめた「日本の優れた医薬品流通機能を未来に届けるための提言~持続可能性と負担の公平性の確保~」によると、GEにおける最終利益率は内資系製薬企業でマイナス1.0%、外資系企業でマイナス0.8%と不採算に陥っている。また、新薬創出加算品についても外資系企業では0.7%、内資系企業でも1.2%で、卸の経営を依然として長期収載品が支えていることがわかる。政府がGE80%目標を掲げる中で、こうしたカテゴリーチェンジはさらに加速することが想定され、対応も急務となっている。



◎企業単位でのコスト管理、交渉を


新薬創出加算品をめぐり、提言では「一部のメーカーでは、仕切価格を不合理に高く設定して新薬創出加算を獲得しようとしている実態があるのでは」と指摘している。


これに対し、武田審議官は、「問題は、卸の経営を一部の企業が支える一方で、新薬創出加算品しかないような一部の企業がタダ乗りするような歪んだ構造ができあがってしまっているのではないかということ」と指摘。「流通にかかったコストを負担しない価格政策を取る企業があるとすれば問題だ」との認識を示した。その上で、企業間の公平性の担保という観点から「本来は、企業別のコスト管理が望ましいのだろう」と述べ、卸側が企業別のコスト管理を提示し、企業単位で交渉することが重要との見方を示した。

一方で、一次売差マイナスが生じているケースでは、「それを認めて仕切価を下げるべきなのではないか」と述べた。当事者間で適正な仕切価への反映に合意できなかった場合については、加算からの除外を含め、対応を検討する姿勢も示した。
 

◎GE コストに応じた金額ベースのリベートも考慮

GEについては、現在卸にとっては不採算となっていることから、「カテゴリーによって収益に差が出ることは、流通の安定化に反する」と指摘。「GEだけでも卸経営が成り立つような仕組みにすべき」と述べた。そのための方策として、カテゴリーごとに流通コストの負担を公平にすることの重要性を強調。提言では、リベート体系を現行の率ベースから、コストに応じた金額ベースに変更することがあげられており、こうした対応を考慮する必要性も示した。


卸が不採算な一方で、GEの価格が諸外国に比べて高いとの指摘があることや、GEメーカーの利益率が高く、業績も好調であることなどから、「(こうした状況は)我々の立場から見ても、問題だと発言せざるをえない。場合によっては、公的部門が介入せざるをえないかもしれない」と述べた。


2016年度改定を控え、GEの使用促進や新薬創出加算についても、中医協などで議論の俎上にあがることになるが、「GEや新薬創出加算品が、卸の収益を生まないということであれば、薬価議論としても、製薬企業にある程度、対応を求めると言う議論になるかもしれない」と見通した。



インタビュー全文は、ミクスOnline,Monthlyミクス9月号で詳報しています。

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