英NICE最終ガイダンス 新規経口抗凝固薬・エリキュースをVTEの治療・再発予防で推奨
公開日時 2015/06/09 03:50
英国立医療技術評価機構(NICE)は6月3日、米・ブリストル・マイヤーズ スクイブ(Bristol-Myers Squibb)と米・ファイザー(Pfizer)社の新規経口抗凝固薬・Eliquis(日本製品名:エリキュース、一般名:アピキサバン)について、英NHS(国民保健サービス)における静脈血栓塞栓症(VTE)の治療および再発予防の治療選択肢として推奨する内容の最終ガイダンスを発表した。
VTEは、深部静脈血栓症(DVT)および肺塞栓症(PE)を含む病態。同剤は、第Xa因子阻害剤で、第Xa因子阻害剤・リバーロキサバンや直接トロンビン阻害剤・ダビガトランと同様に、低分子ヘパリン注射やビタミンK拮抗剤ワルファリンからの投与変更が可能。
用法用量は、DVTもしくはPEの治療の場合、投与開始7日間は10mg錠を1日2回。その後、少なくとも3か月間は、5mg錠1日2回を投与する。再発予防の場合、DVTもしくはPEの治療が終了した患者では、2.5mg錠を1日2回投与する。薬価は、2.5mg錠、5mg錠ともに1.10ポンド(付加価値税除く。英国ナショナルフォーミュラリー(BNF)2015年1月版)。
評価委員会は、当該企業および専門家検討班(ERG)の分析では、6か月もしくは生涯の治療における同剤のICER(増分費用対効果比)は、1 QALY(質調整生存年)あたり2万ポンド以下であったことを報告している。
NICE医療技術評価センター(HTEC)のCarole Longson教授は、「ワルファリンは、頻回の血液検査が必要で、用量調整が難しい。アピキサバンは、NICEがすでに推奨している他の経口抗凝固薬(リバーロキサバンやダビガトラン)と同様に、頻回のモニタリングを必要とせず、VTE患者には大きなベネフィットをもたらせる」と同剤を評価した。その上で、承認用量については、VTEの再発抑制では初発に比べ、治療を継続した場合の出血リスクを低減する可能性があり、「より長期にわたって服用できる機会を増大させるベネフィットを持っている」とコメントした。