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厚労省・臨床研究制度のあり方検討会 「広告目的の臨床研究」法制化を了承

公開日時 2014/11/07 03:53

厚生労働省の「臨床研究に係る制度のあり方に関する検討会」(座長・遠藤久夫学習院大学経済学部教授)は11月6日、医薬品・医療機器を用いた臨床研究のうち、未承認・適応外と、広告を目的としたものについて法制化するとの座長提案を了承した。これにともない、対象となる臨床研究については、実施基準をICH-GCPを踏まえて定める。また臨床研究の質の確保の観点からモニタリング・監査の実施が求められることになる。


検討会は、ディオバン問題など臨床研究をめぐる不正事案が明るみになったことを踏まえ、具体的な規制の在り方や対策などを検討した。この日示された座長提案では、自由な研究環境を確保しつつ研究の萎縮を防ぐには、研究者などによる自助努力と法規制のバランスを図ることが重要と指摘。臨床研究の制度のあり方として、これまでの倫理指針の遵守だけでなく、欧米の規制を参考に一定範囲の臨床研究について法規制を導入する考えが示された。具体的には、法規制の対象として、①未承認または適応外の医薬品・医療機器等を用いた臨床研究、②医薬品・医療機器等の広告に用いることを目的とした臨床研究―をあげた。


具体的な法規制としては、一連の臨床研究不正事案において何ら歯止めとならなかったことが指摘された倫理審査委員会については、研究の倫理的妥当性だけでなく、研究デザインや統計解析等の科学的妥当性についても十分審査できるよう制度上位置付けることが必要としている。倫理審査委員会が適切に機能するためには、個々の委員の資質だけでなく、事務局を含めたシステムとして機能としていることを重要視した。また、研究開始時点だけでなく、途中段階でも必要に応じた関与を促した。


臨床研究に関する情報の公開は適切に行われることで、研究の質確保、被験者保護や国民の理解増進にも有用とした。さらに、不適切事案が起きた際の対応にも有用とした。一方で、知的財産権保護にも配慮が必要とした。


臨床試験の実施基準については、実施基準をICH-GCP等を踏まえ定め、関係者にその遵守を求めるべきとした。さらにモニタリング・監査の実施は有用としたが、研究者側の負担や研究費の増加、それに伴う研究数の減少などの懸念もあると指摘。モニタリング等について行政が一律に実施方法を指示することは適切でないとした。


ペナルイティーについては、「行政当局は研究責任者または研究機関の長に対して必要な調査を行うとともに、必要な措置を講じさせるなどの権限を確保すべき」とした。法制化の対象となる臨床研究で、研究者等の義務違反があった場合は法律に基づく罰則を課す。ただし、限定的な実施とし、まずは行政指導や改善命令などによる是正を促した上で、改善が図られない場合とした。研究機関には、不正事案に関する公益通報窓口を設置するなど情報収集を求めたほか、適切な調査、対応も求めた。また、不正が起きた場合に研究機関の長や研究者が所属する学会も厳しい姿勢で臨むなど、自主的な取り組みも促した。


◎労務提供の行動指針策定を求める


製薬企業に対しては必然的に生じる利益相反については、資金提供の透明性をもって管理することが必要とした。一方、労務提供についても関係業界による行動指針等の策定が必要とした。ただし、研究開発の促進に影響を及ぼさないような配慮が必要とした。

 

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