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薬食審・第二部会 関節リウマチ薬レミケードのバイオシミラー承認へ

公開日時 2014/05/27 03:52
厚労省の薬食審医薬品第二部会は5月26日、生物学的製剤で関節リウマチなどに用いるインフリキシマブBS点滴静注用100mgについて、医薬品医療機器総合機構(PMDA)がバイオシミラー(バイオ後続品)として承認して差し支えないと判断したとの報告を受けた。通常どおりの手続きなら、6月中に正式承認となる。
 
同剤の先行品は田辺三菱製薬のレミケード点滴静注用で、13年度国内売上763億円に上る大型製品。バイオシミラーは日本化薬と韓国のセルトリオン社がそれぞれ承認申請した。適応症は、関節リウマチ、クローン病、潰瘍性大腸炎。日本化薬は、10年に締結した韓国のセルトリオン社と日本でのライセンス契約に基づいて共同開発してきた。
 
承認が了承された品目は次のとおり。
 
【審議品目】 (カッコ内は成分名と申請会社名)
 
▽アレセンサカプセル20mg、同40mg(アレクチニブ塩酸塩、中外製薬):「ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間10年。世界初承認。
 
肺がんの国内罹患数10万人弱のうち非小細胞肺がんは8割、ALK(未分化リンパ腫キナーゼ)陽性率は2~5%とされ、推定患者数は1600~3900人となる。アレセンサはALKを介するシグナル伝達を阻害することで腫瘍増殖を抑制する。同じ適応を有するザーコリ(クリゾチニブ、ファイザー)は12年に承認されている。
 
▽ジャカビ錠5mg(ルキソリチニブリン酸塩、ノバルティス ファーマ):「骨髄線維症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間10年。米国で11年、欧州で12年に承認され、59の国または地域で承認済み。
 
骨髄線維症は造血組織である骨髄が線維化することで、正常な血液の産生が妨げられる進行性の血液がん。推定患者数は約1500人。脾腫に伴う腹痛や貧血、血栓症、出血などの臨床症状があり、一般的に予後不良な疾患。治療薬としては、貧血症状の対症療法薬アンドロゲン製剤がある程度だった。ジャカビは、JAK1やJAK2を標的とするチロシンキナーゼ阻害剤で、脾腫の縮小や諸症状を改善することが見込まれる。
 
▽ネクサバール錠200mg(ソラフェニブトシル酸塩、バイエル薬品):「根治切除不能な分化型甲状腺がん」の効能・効果を追加する新効能医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間10年。甲状腺がんの適応で米国を含む4カ国で承認済み。欧州で審査中。
 
腎細胞がんや肝細胞がんに効能が追加されたもの。甲状腺がんの推定患者数は2万9000人。類薬にはブレオマイシン塩酸塩(日本化薬)などがある。
 
▽アネメトロ点滴静注液500mg(メトロニダゾール、ファイザー):「各種嫌気性菌感染症、感染性腸炎、アメーバ赤痢」を効能・効果とする新投与経路医薬品。再審査期間6年。欧米を含む30カ国以上で承認済み。
 
同成分の経口薬と膣剤は既に使われており、内服困難な患者への使用が想定される。また、静注剤では膿胸や胆嚢炎など既存製剤にはない効能・効果も含まれる。厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で開発が必要と判断され、開発企業の募集が行われ、ファイザーが応募したもの。経口剤は塩野義製薬、膣剤は富士製薬が製造販売している。
 
▽メナクトラ筋注(4価髄膜炎菌ワクチン(ジフテリアトキソイド結合体)、サノフィ):「髄膜炎菌(血清型A、C、Y、およびW-135)による侵襲性髄膜炎菌感染症の予防」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。米国など48の国と地域で承認済み。
 
髄膜炎菌は髄膜炎や敗血症の起炎菌となる病原体。死亡率は髄膜炎の場合で7~19%、敗血症では18~53%との報告がある。感染例の発生は主に中央アフリカで、投与対象はこの地域への渡航者となる見込み。厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で開発が必要と判断され、開発要請されていた。
 
▽バイクロット配合静注用(乾燥濃縮人血液凝固第10因子加活性化第7因子、化学及血清療法研究所):「血液凝固第8因子又は第9因子に対するインヒビターを保有する患者の出血抑制」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品、新医療用配合剤。希少疾病用医薬品。再審査期間10年。
 
インヒビターの発現のため第8因子または第9因子の製剤を補充しても止血効果が著しく低下している際に投与する薬剤。
 
▽ラパリムス錠1mg(シロリムス、ノーベルファーマ):「リンパ脈管筋腫症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間10年。海外において同適応で承認されている国はない。
 
リンパ脈管筋腫症(LAM)は、組織破壊により肺に小さな穴が複数生じることが特徴の疾患で、適応をもつ治療薬はない。ラパリムスは、肺での平滑筋様細胞(LAM細胞)の異常増殖に関わるたんぱく質mTORの働きを阻害し、効果を発揮する。
 
【報告品目】(カッコ内は成分名、会社名)
 
報告品目は、PMDAの審査で承認して差し支えないとされ、部会での審議は要しないと判断されたもので、通常なら1カ月程度で正式承認となる。
 
▽インフリキシマブBS点滴静注用100mg「NK」(インフリキシマブ遺伝子組換え、日本化薬)▽同「CTH」(同、セルトリオン):「既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)」「クローン病の治療および維持療法(中等度から重度の活動期にある患者又は外瘻を有する患者の状態を示し、既存治療で効果不十分な場合に限る」「中等症から重症の潰瘍性大腸炎(既存治療で効果不十分な場合に限る)」を効能・効果とするバイオ後続品。再審査期間なし(再審査期間満了した効能のみ追加)。欧州、韓国など16の国、地域で承認済。
 
両社からそれぞれ承認申請されたが、セルトリオンの申請においては同社が外国特例承認取得者で、日本での選任製造販売元は日本化薬となっている。日本国内での市販後の安全管理など、製造販売業者として必要な業務は日本化薬が行う。
 
▽ファイバ注射用500、同1000(乾燥人血液凝固因子抗体迂回活性複合体、バクスター):「血液凝固第8因子又は第9因子インヒビターを保有する患者に対し、血漿中の血液凝固活性を補いその出血傾向を抑制」の効能・効果を追加する新効能・新用量医薬品。再審査期間なし。
 
インヒビターの発現のため第8因子または第9因子の製剤を補充しても止血効果が著しく低下している患者に対し、定期的な投与により出血を予防するための効能・効果、用法・用量を追加するもの。
 
▽プレベナー13水性懸濁注(沈降13価肺炎球菌結合型ワクチン、ファイザー):「高齢者の肺炎球菌による感染症の予防」を効能・効果に追加する新効能・新用量医薬品。再審査期間は残余(平成33年6月17日まで)。
 
類薬のニューモバックス(MSD)は高齢者の適応をすでに持っている。
 
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