小野薬品・13年度業績 DPP-4阻害薬グラクティブなど堅調 長期収載品の減収を吸収 がん専門MR配置へ
公開日時 2014/05/14 03:52
小野薬品は5月13日、2014年3月期(13年度)決算を発表し、売上1432億円、前期比0.3%増とほぼ横ばいとなった。DPP-4阻害薬グラクティブや骨粗鬆症治療薬リカルボンといった主要新製品が堅調に推移し、末梢循環障害改善薬オパルモンなど長期収載品の減収を吸収した。4月の薬価改定で同社は全体で4%弱の影響を受けており、14年度は3.0%の減収を計画する。
グラクティブは売上357億円で、期初計画の400億円には届かなかったが、前期比2.6%増を確保した。ただ、09年12月の発売以来では、最も低い伸び率となる。14年度はDPP-4阻害薬のさらなる競争激化や、薬価改定でマイナス10.1%の市場拡大再算定を受けたことから、売上320億円、前期比10.3%減を見込む。オパルモンや抗アレルギー薬オノンカプセルなど特許が切れた主力品は、薬価改定の影響も受け、二桁減収を計画する。
同社は14年度にSGLT2阻害薬フォシーガや抗がん剤のヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体ニボルマブ(開発コード:ONO‐4538)の発売を予定する。いずれも大型化を見込む新薬だが、業績への寄与は「数年先」としている。
◎SGLT2阻害薬フォシーガ 「論文やエビデンスの蓄積多い」
同社はこの日に開いた決算会見で、5~6月の発売が見込まれるフォシーガのアストラゼネカ(AZ)との共同販促に触れ、競合薬が多い中でも「十分にやっていける体制」との認識を示した。小野薬品とAZでMRは合計約2500人になる。両社は訪問施設のすみ分けなどは行わず、共に情報提供していく。
4月にファーストインクラスとなるスーグラが発売され、二番手での発売となる点について相良暁社長は、「最初に発売できた方がもちろん良いが、1か月遅れということで大きなハンディはないと考えている」と述べ、フォシーガの特徴である▽世界初登場のSGLT2阻害薬▽論文やエビデンスの蓄積が多い▽朝の服用に限定されない柔軟な用法―などから競争優位に立てると自信をみせた。
◎がん専門MR 14年度中のニボルマブ承認取得控え配置 適応拡大で増員も
同社は決算会見で、1000人規模のジェネラルMRを70~100人規模の学術推進課が支援する体制を変更し、がん専門MRを新設する計画も明らかにした。同社初の抗がん剤で、次期主力品と見込むニボルマブの発売を控えた体制変更になる。同薬については、悪性黒色腫の適応で13年12月に承認申請しており、希少疾病用医薬品の指定を受けていることから早期承認が予想される。また、同社は非小細胞肺がんや腎細胞がん、食道がんでも開発を進めている。
相良社長は、がん専門MRは現在のMR950人とは別に設け、その人員には現在の学術推進課の担当者も念頭に置いていると説明した。具体的なMR数は明らかにしなかったが「小人数で始め、適応拡大に合わせて増やしていく」との方針を示した。
【連結業績(前年同期比)14年度通期予想(前年同期比)】IFRS
売上高 1432億4700万円(0.3%増)1390億円(3.0%減)
営業利益 264億2300万円(11.7%減)192億円(27.3%減)
税引前利益 294億5800万円(10.7%減)218億円(26.0%減)
【主要製品売上高(前年同期実績)14年度通期予想、億円】
グラクティブ 357(348)320
オパルモン 325(339)285
オノンカプセル 135(161)105
リカルボン 111(77)120
イメンド/プロイメンド 88(79)105
フオイパン 80(88)70
キネダック錠 74(87)60
オノンドライシロップ 69(73)60
ステーブラ 65(64)65
リバスタッチパッチ64(39)80
注射用オノアクト44(37)60
注射用エラスポール 35(39)30
オレンシア皮下注 8(-)30