武田薬品 新規作用の酸関連疾患薬ボノプラザンを承認申請 タケプロンの後継品
公開日時 2014/03/03 03:51
武田薬品は2月28日、酸関連疾患治療薬ボノプラザンフマル酸塩(一般名、開発コード:TAK-438)を同日に承認申請したと発表した。カリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)と呼ばれる新しい作用を持つ酸分泌抑制薬で、同社が創製した。プロトンポンプ阻害薬(PPI)タケプロン(一般名:ランソプラゾール)の後継品に位置づけている。
申請は、逆流性食道炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、ヘリコバクター・ピロリの除菌の補助療法など酸関連疾患を対象に実施した国内フェーズ3試験の結果に基づく。ランソプラゾールとの非劣性を検証し、ボノプラザンの有効性と安全性、忍容性を確認した。
同薬は、胃壁細胞における酸分泌の最終段階に位置するプロトンポンプをカリウムイオンと競合的に阻害することから、強力で持続的な酸分泌抑制作用や投与早期からの効果発現が見込まれている。
現在、酸関連疾患治療では、プロトンポンプ阻害剤(PPI)が第一選択薬となっているが、遺伝子多型のあるCYP2C19の関与により作用に個人差がある点や効果発現までに5日間程度要するなどの課題が指摘されている。同社はボノプラザンについて▽CYP2C19の関与が少なく作用に個人差が少ない▽作用発現において酸による活性化が不要で、胃に高濃度に移行することから投与初日からほぼ最大の薬効が得られる▽24時間の持続効果―などを挙げている。同社の医薬開発本部長 Nancy Joseph-Ridge氏は「強力な酸分泌抑制を必要とする酸関連疾患に対し、新しい治療オプションとなるTAK-438を申請できたことを嬉しく思います」と述べている。
タケプロンは、降圧薬ブロプレス、前立腺がんなどの治療薬リュープリンなどと並ぶ同社主力品の1つで、12年度売上額は691億円。タケプロンはすでに特許期間が満了しており、同社としては、ボノプラザンを次期主力品として育成する考え。