薬食審・第二部会 ノバルティスのアフィニトールの適応に難病「結節性硬化症」追加了承
公開日時 2012/11/01 04:00
厚生労働省の薬食審医薬品第二部会は10月31日、ノバルティスの抗がん剤アフィニトール(一般名:エベロリムス)の適応に、難病の「結節性硬化症」の追加を了承した。同症に対する治療薬は国内では初めて。
31日の部会の「審議品目」は同剤のみ。具体的な適応は、結節性硬化症に伴う「腎血管筋脂肪腫」と「上衣下巨細胞性星細胞腫」。アフィニトール錠5mg、同2.5mgは、両方の適応を追加し、水に分散させてかき混ぜて服用する分散錠2mg、同3mgは「上衣下巨細胞性星細胞腫」の適応を取得することになった。オーファンドラッグであり、再審査期間は10年。
結節性硬化症は、体のあらゆる箇所に良性の腫瘍を引き起こす疾患で、難病情報センターによると、患者は国内に1万5000人はいると考えられる。手術が治療法になるが、それが適応にならない場合の治療薬はなかった。それに伴う腎血管筋脂肪腫は発症率が高く、良性とはいえ、腫瘍は両方の腎臓にできることが多く、増殖すると重度の内出血を引き起こしたり、腎不全を起こしたりすることもあるという。上衣下巨細胞性星細胞腫は脳に発症する。
結節性硬化症は遺伝子の変異によって、腫瘍細胞の分裂や腫瘍の成長に必要な血管新生などに関与するmTORを活性化することで引き起こされるといわれる。同剤は、そのmTORの機能を阻害する作用により効果を発揮するという。
G-CSFのバイオシミラー承認へ
すでに承認が了承されている「報告品目」は2成分で、その中でG-CSF製剤のグラン(協和発酵キリン)のバイオシミラー(バイオ後続品)が報告された。
▽フィルグラスチムBS注75μgシリンジ「モチダ」、同150μg、同300μg(フィルグラスチム遺伝子組換え、持田製薬)/フィルグラスチム注75μgシリンジ「F」、同150μg、同300μg(同、富士製薬):がん化学療法などによる好中球減少症などを効能・効果とするバイオ後続品。再審査期間なし。
▽ザイボックス錠600mg、同注射液600mg(リネゾリド、ファイザー):小児用量を追加する新用量医薬品。再審査期間なし。厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で、同剤の小児用量について公知申請が認められていたもの。特例ですでに保険適用されている。
適応追加の公知申請了承 保険適用に
31日の部会では、厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で公知申請が認められた適応の追加についての公知申請を了承した。特例により保険適用となった。
▽ネオーラルカプセル、同内用液(一般名:シクロスポリン、ノバルティスファーマ):予定適応「その他の非感染ぶどう膜炎」
▽ノボセブンHI静注用(エプタコグ アルファ活性型遺伝子組換え、ノボノルディスクファーマ):「血液凝固第8因子又は第9因子に対するインヒビターを保有する先天性血友病の軽度から中等度の出血」に関する用法用量の追加。
▽注射用エンドキサン(シクロホスファミド、塩野義製薬)、オンコビン注射用(ビンクリスチン硫酸塩、日本化薬)、ダカルバジン注用(ダガルバジン、協和発酵キリン):「褐色細胞腫に対する3剤併用療法(CVDレジメン)」
▽ハイドレアカプセル(ヒドロキシカルバミド、ブリストルマイヤーズ):「本態性血小板症」「真性多血症」
▽カンプト点滴静注(イリノテカン塩酸塩水和物、ヤクルト本社)、トポテシン点滴静注(同、第一三共):「小児悪性固形腫瘍」