BMSのTaxol、サノフィのTaxotereが厳しい薬価引き下げ:中国
公開日時 2012/10/11 04:00
中国国家開発・改革委員会(NDRC)は9月18日、医薬品価格上限の引き下げを発表した。多国籍企業の製品が多い、独立価格付け(independent pricing)製品135品目に大きな影響を与える模様だ。独立価格付け製品は、中国の保険償還システムのなかで、高品質医薬品にプレミアム薬価を認めて償還するシステムである。ほとんどの多国籍企業の製品がこれに該当している。
しかし、現在、これらの多数の製品は特許切れとなっており、中国政府の医療費抑制策と国内産業育成のために薬価引き下げの対象となりやすい。
10月8日に発効となる薬価改定は平均17%の引き下げで、今年3月の前回改定とほぼ同じ引き下げ率。NDRCでは、次回改定を2013年10月に一部製品を対象に行う計画を発表している。NDRCは薬価引き下げについて、医療費および薬価調査、業界の専門家の意見などを基礎に行っているとしている。NDRCは、患者負担を減少させる意味でも1日薬価が高い製品を引き下げ対象にしたと説明している。しかし、一方で、品不足の製品については薬価を引き上げた製品もある。
引き下げられた製品のなかで、引き下げ率が大きかったものに、ブリストルマイヤーズスクイブ(BMS)の抗がん剤Taxol(パクリタキセル)の34%、サノフィの抗がん剤Taxotere(ドセタキセル)の32%引き下げが目立つ。Cowen & Co. のアナリスト、Katherine Lu氏は、「ジェネリック品が登場すると輸入品(多国籍企業)の価格を大きく引き下げ、国内製品の採用を促進するために国産ジェネリックは小幅の引き下げを行っているようだ」と指摘する。しかし、それでも、輸入品は国産品よりも高い。
協和発酵キリン/アムジェンのEPO製剤は、2013年10月までに累積40%の薬価引き下げに達するが、国産のEPOのバイオシミラーは26-27%の引き下げに留まるという。だが、Lu氏は、国産品はしばしば、外国製品よりも大幅な引き下げをされる場合があるとも指摘する。前述のTaxolは34%の引き下げを受けたが、国産のパクリタキセルのジェネリック製品は55%の引き下げとなっている。
中国での売上トップ製品の薬価引き下げ状況は以下の通り。
製品名、剤型(規格)、企業、上限価格、引き下げ率の順。
免疫抑制剤Cellcept、錠剤500㎎、ロシュ、589.00中国元、17.74%。
免疫抑制剤Cellcept、錠剤250㎎、ロシュ、676.00中国元、12.21%。
免疫抑制剤Prograf、カプセル1mg、アステラス、1339.00中国元、10.01%。
免疫抑制剤Prograf、カプセル0.5㎎、アステラス、767.00中国元、4.13%。
アトピー性皮膚炎治療薬Protopic、軟膏10㎎:10g、アステラス、161.00中国元、10.06%。
アトピー性皮膚炎治療薬Protopic、軟膏3㎎:10g、アステラス、138.00中国元、9.80%。
免疫抑制剤Prograf、注射5㎎:1ml、アステラス、1279.00 中国元、15.02%。
抗がん剤Xeloda、錠剤500㎎、ロシュ、470.00中国元、4.86%。
抗血小板薬Plavix、錠剤75㎎、サノフィ、137.00中国元、9.87%。
The Pink Sheet 9月21日号