FDA研究者 abacavir副作用のメカニズムを発見
公開日時 2012/05/31 04:00
米FDA(食品医薬品局)は、5月22日、FDA主導の研究者らが抗HIV薬Ziagen(abacavir)による自己免疫反応を主とする副作用の原因となるメカニズムを突き止めたと発表した。
研究者らは、一定の副作用リスクが高い患者では、abacavirにより、患者の免疫系が自分の健康な組織やタンパクを異物とみなす原因となることを発見した。同剤は、一定のリスクのある患者では、軽度の皮膚反応から重篤なショック症状や死を招く場合があることは知られていた。
Abacavirは、ヒト白血球抗原HLA-B5701と呼ばれる免疫系の分子に作用する。HLA-B5701は、身体が自己と異物タンパクを識別するのを助ける。同剤は、HLA-B5701に身体がかつて認識したことのない自己のタンパクを初めて提示させる。身体はこれら自己タンパクをいままで認識したことがなかったため、それらを異物とみなし、自分自身の組織を破壊しようとする。HLA-B5701が、abacavirの重篤な副作用の危険因子であることは知られている。FDAのJanet Woodcock医薬品評価研究センター(CDER)長は、「この発見は、一定の患者で一定の薬剤がどうして、なぜ重篤な副作用を起こすかを理解するための新たな歩みだ」と評価したうえで、「将来、医師が様々な薬剤に対して、重篤な反応を引き起こす可能性が高い患者を見つけることが出来ると思う」と今後の研究進展に期待感を示した。
今回の研究結果は、安全性について個人化医療の薬剤の承認する能力を向上させることになると見られている。
同研究チームは、FDA・CDERの医薬品化学部(OPC)のMichael Norcross博士が率いた。この知見は、学術誌「AIDS」のオンライン版に掲載された。