【MixOnline】パンくずリスト
【MixOnline】記事詳細

FDA Tysabriの白質脳症リスクを予測する検査法を承認

公開日時 2012/02/29 04:00

米食品医薬品局(FDA)は1月20日、希に進行性多巣性白質脳症(PML)の副作用を発現する、多発性硬化症(MS)およびクローン病治療薬Tysabri(natalizmab)について、PML発現リスクを事前に検出する検査法を初めて承認した。


PMLは、JCウイルス(JVC)によって引き起こされるが、健常人は感染しても発症しないが、免疫療法などを受けている免疫力が低下している場合に、発症することが多い。同疾患の治療法、予防法もなく、同疾患は予後が悪く、重度の障害を持つなどして、死亡に至る。


同検査法は、Stratify JCV(John Cunningham virus)Antibody ELISAと呼ばれる検査法で、血漿中・血清中の抗JCV抗体を測定、陽性か否かを測定する。Tysabri服用中の患者のPMLのリスクを増加させる因子には、①JCVに曝露された経験を意味する抗JVC抗体を持つ、②かなり長期間(2年以上)Tysabriの服用を継続している、③Tysabriを服用するまえに、ミトキサントロン、アザチオプリン、メトトレキサート、シクロホスファミド、ミコフェノール酸モフェチルなど免疫を低下させる薬剤を服用している-ことが分かり、今回の検査法開発につながった。以上の3つの危険因子すべてに該当する場合の患者がPMLに罹患する確率は最大で1万分の11といわれる。


今回のStratify JCV Antibody ELISAの承認は、同検査法にTysabriのコンパニオン診断薬のような位置づけを与え、同治療法は個別化医療へと大きく前進、副作用としてのPML発症の減少が期待できる。FDAは、同検査法の承認に伴い、Tysabriのラベルに、抗JCV抗体陽性の患者ではPML発症のリスクが増大する旨の記述を加えた。
Tysabriは米Biogen Idecと英Elan Corporationが販売しているが、今回の検査薬開発には、Biogen Idecと診断薬企業Quest Diagnosticsが共同開発した。


FDA医療機器・放射線保健センター(CDRH)のAlberto Gutierrez体外診断薬部長は、「この検査法が医師にTysabri療法を受けているMS患者・クローン病患者でPMLを発症させるリスクを増大させるかどうかを判断するのに追加的手段になる」と歓迎している。


米ブルームバーグ通信によると、RBC Capital Marketのアナリスト、Michael Yee氏は、「2016年には、今回の(検査法承認に伴う)ラベル変更がなければ両社の売上合計は15億―20億ドルの予想だったが、ラベル変更によって、25億―30億ドルの売上が期待できる」と今回の検査薬の承認でTysabriの投与患者が明確化することで、同剤の売上が2016年に向けて、10億ドルの増加が期待できると報じている


Yee氏の見通しは、薬剤の売上は個別化医療になると縮小するという一般的見方に反するような印象だが、医師らが副作用発現を気にせず処方できることがメリットとなることの好例を示すかのようだ。
 


 

プリントCSS用

 

【MixOnline】コンテンツ注意書き
【MixOnline】関連ファイル
【MixOnline】記事評価

この記事はいかがでしたか?

読者レビュー(0)

1 2 3 4 5
悪い 良い
プリント用ロゴ
【MixOnline】誘導記事
【MixOnline】関連(推奨)記事
【MixOnline】関連(推奨)記事
ボタン追加
【MixOnline】記事ログ
バナー

広告

バナー(バーター枠)

広告

【MixOnline】アクセスランキングバナー
【MixOnline】ダウンロードランキングバナー
記事評価ランキングバナー