武田薬品 タケプロン後継品のTAK-438 国内フェーズ3開始 13年度の申請目指す
公開日時 2011/09/20 04:02
武田薬品は9月16日、酸関連疾患治療薬TAK-438の国内フェーズ3試験を開始したと発表した。TAK-438は自社創製品で、同社はPPIタケプロンの後継品と位置づけている。PPIでは期待される最大効果まで5日間かかるとされるが、TAK-438は投与初日からPPIの最大効果が期待できるという。同社は2013年度中に承認申請し、14年度の承認取得を目指す。
TAK-438はPPIとは異なる作用機序のカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(Potassium-Competitive Acid Blocker:略称P-CAB)で、胃酸分泌に必要なカリウムイオンのH+,K+‐ATPase(プロトンポンプ)への結合を阻害して胃酸分泌を抑制する。同社によると、PPIに比べて▽強力な胃酸分泌抑制作用▽短時間での作用発現▽長時間の作用持続――を示すことが期待されるという。フェーズ3試験では胃潰瘍、十二指腸潰瘍、逆流性食道炎などの効能取得を目的とした有効性と安全性を検討する複数の他施設共同試験を実施する予定だ。
同社のナンシー・ジョセフ=リッジ医薬開発本部長は、「酸関連疾患においては、重症あるいは既存のPPIで治療困難な患者さんが未だに多いのも事実」とし、TAK-438をできるだけ早く上市できるように取り組みたいとコメントした。
9月15日には世界で最も売れているPPIネキシウム(アストラゼネカと第一三共がコ・プロモーション)が日本で発売されたが、武田薬品広報部は本誌に、「(ネキシウムは)同じ疾病に対する治療薬。もちろん競合品のひとつ」とコメント。TAK-438が順調に開発・上市されれば、酸関連疾患治療薬の競争が激しくなりそうだ。