日本糖尿病学会 リラグルチドの適正使用で緊急情報 死亡報告受け
公開日時 2010/10/05 04:03
日本糖尿病学会の「インクレチン(GLP-1受容体作動薬とDPP-4阻害薬)の適正使用に関する委員会」は10月1日、インスリンからGLP-1受容体作動薬リラグルチド(ビクトーザ皮下注18㎎)に切り替えた症例で糖尿病ケトアシドーシスを発症し、2例の死亡が報告されたことを受け、“緊急情報”として同剤の適正使用に向け、注意喚起を促した。同剤を販売するノボノルディスクファーマも「ビクトーザ皮下注18㎎の適正使用のお願い」と題する文書を作成し、9月末から医療関係者への情報提供を行っている。
日本糖尿病学会がWeb上で公開した緊急情報によると、インスリン療法を中止し、リラグルチドに切り替えた症例で糖尿病ケトアシドーシスを発症し、死亡に到った症例が2例あったことが明らかになった。また、著明な高血糖をきたした症例も7例報告された。
いずれもノボノルディスクファーマが行っている市販直後調査(2010年6月11日~9月24日の間)に報告されたもの。糖尿病ケトアシドーシス2例については、前治療として行ったインスリン治療を中止し、リラグルチドの治療に切り替えられた翌日に糖尿病ケトアシドーシスを発症し、死亡に至った。また、高血糖が報告された7例のうち、6例は、インスリン治療を中止し、リラグルチドに切り替えられた症例でみられたとしている。
◎日本糖尿病学会 リラグルチドはインスリンの代替とならない
日本糖尿病学会は、リラグルチドはインスリンの代替とはならないと強調。「インスリン治療中の患者では、患者がインスリン依存状態にあるか、非依存状態にあるかについて評価したうえでリラグルチドの使用の可否を判断すべき」とした。また、インスリン依存状態、非依存状態の鑑別にはCペプチドの測定が有用としながらも、鑑別が難しい場合が多いとし、専門医に委ねるべきと喚起した。
◎ノボ インスリン依存状態の患者へのリラグルチド切り替えは行わない
ノボノルディスクファーマも医療関係者に対し、注意喚起を行っている。ビクトーザ皮下注18㎎の適正使用のお願いと題する文書では、「インスリン依存状態の患者様(1型糖尿病患者、インスリン治療が不可欠な2型糖尿病患者等)へは、インスリンから同剤への切り替えを行わない」よう求めた。