中外製薬のハーセプチン HER2陽性進行・再発胃がんで優先審査指定
公開日時 2010/06/22 04:02
中外製薬は6月21日、HER2陽性の進行・再発胃がんに対する効能追加申請をしている抗がん剤ハーセプチン注射用が厚生労働省から優先審査品目の指定を受けたと発表した。追加承認申請は3月19日に行われており、優先審査となったことで来年3月までには承認の可否が判断されるとみられる。
HER2は、細胞表面に過剰発現することでがんの増殖に関与しているとされるたんぱく質。同タンパクの機能を抑える作用をハーセプチンは持ち、それによりがんの増殖を抑えるとされる。同タンパクの過剰発現は進行性胃がんの患者の約2割に見られるといい、この患者群に申請効能が適応となる。
進行胃がんの診断後の平均的な生存期間は、現行治療では約10ヵ月と、予後はよくないが、日本を含む国際共同第3相試験(ToGA試験)では、生存期間を延長することが確認された。同社によると、フッ化ピリミジン系抗がん剤とシスプラチンを併用した投与群より、その併用療法にハーセプチンを加えて投与した群は生存期間(中央値)は2.7ヵ月延長され、13.8ヵ月。HER2が強く発現している患者群で解析したところ、ハーセプチン併用群の生存期間は16ヵ月だった。
海外では、HER2陽性の進行・再発胃がんに対する効能は欧州では約4ヵ月の承認審査を経て10年1月に承認を受けている。米国では同年4月にジェネンテックが申請している。