国際糖尿病連合(IDF)は、カナダ・モントリオールで開催された第20回国際糖尿病学会で、2型糖尿病における、▽妊娠▽インスリン治療を受けていない患者への血糖自己測定(SMBG)▽口腔衛生――に関する各ガイドラインを発表した。
妊娠に焦点が当てられたのは、妊婦で高血糖となる人が増加しているためだ。妊娠女性の約10%が高血糖とのデータもある。これらの高血糖の患者に対する診断・治療が行われなかった結果、奇形や胎児の死亡などが起こることも指摘されており、対策が求められていた。そのため妊婦に関するGLでは、新たにハイリスクな人を特定できるよう工夫を凝らし、初回診療時、その後の診療時、管理、分娩後などに分け、注意点を解説した。
SMBGに関するGLでは、2型糖尿病の患者教育に際し、生活指導や最適な治療方針を立てる際にSMBGが推奨されるとした。その上で、インスリン治療を受けていない2型糖尿病患者については、SMBGを用いる患者を医師が限定すべきとし、個別化に配慮した治療の方針決定が大切とした。
糖尿病患者で歯周病患者が多いことから口腔衛生に関するGLも策定した。糖尿病ケアチームは、可能な限り口腔治療の重要性をアドバイスし、またその結果をモニタリングすることを求めた。その上で、歯周病が糖尿病の合併症とするに足る十分なエビデンスがないと指摘し、今後のエビデンスの集積が重要としている。
GLをまとめたIDF Task Force on Clinical GuidelinesのStephen Colagirui委員長は、「これらのGLは最初のステップに過ぎない」と強調。IDFの使命は、所得水準や国によらず、世界中のすべての患者における「糖尿病治療、予防と治癒を促進すること」と説明した上で、GLが糖尿病患者のQOLを改善することに期待感を示した。