米国で検討中のヘルスケア改革法案が実現すると、公的高齢者保険メディケア・パートDで、加入者が支払う保険料は2011年に5%上昇、19年には20%上昇するという。ただし、法の施行により、費用分担が促進されることから、加入者の支払う保険料は、年間の薬剤の使用状況で変化するとしている。
これは、米国議会予算局(CBO)の見通し。同じ内容を下院委員会のDave Camp議員に文書で送付しているという。
CBOは、▽メディケア・パートDとメディケド(低所得者医療扶助制度)の両方に加入資格がある人(二重資格)に対して給付される薬剤についてのリベート率の決定▽今後15年間で薬剤費自己負担額の制限におけるギャップ(ドーナッツ・ホール)の解消▽一定の条件を持つ患者がドーナッツ・ホールに達した場合、製薬企業に先発品薬価の50%の割引を求める――の3項目に言及。これらが実現できれば、10~19年の10年間で300億円の医療費節減が見込めるとしている。
ただし、同案が施行されると、製薬業界がリベートの経費を新薬の価格を上乗せすることで補てんしようとする可能性があることも指摘。結果として、加入者の平均的な薬剤費が減少し、費用分担の減少が保険料の上昇を上回ると予測している。
なお、米国研究製薬工業協会(PhRMA)など、同条項の成立に批判的な勢力は、パートDで製薬業界に対する高いリベートの要求は、保険料の高騰を招き、結果的に加入者のためにならないとしている。
(The Pink Sheet 9月1日号より) FDAと米国製薬企業の情報満載 “The Pink Sheet”はこちらから