武田薬品のSYR-322 米国追加試験は9月開始
公開日時 2009/08/31 04:00
武田薬品は8月28日、米国で追加試験が必要となっていた次期主力品候補の2型糖尿病治療薬「SYR-322」(一般名:アログリプチン)について、FDAとの間で試験デザインに関して合意したと発表した。同社によると、追加試験で求められている心血管系リスクの安全性データは最短で11年9月ごろに得られるという。このためFDAの審査期間を6か月とすると承認取得は最短で12年3月ごろとなりそうだ。
SYR-322はDPP-4阻害作用を持つ次世代の2型糖尿病治療薬で、同社最主力品アクトス(08年度米国売上高:約3000億円)の後継品。アクトスは11年1月に特許切れを迎えるため、糖尿病領域での切れ目のない新薬投入が不可能となる。
アクトス特許切れによる減収分の穴埋めについて、同社は本誌取材に▽アクトス配合剤の市場浸透▽抗潰瘍剤カピデックス、痛風・高尿酸血症治療薬ユーロリック、抗がん剤ベルケイドといった新薬の売上最大化▽進出国・地域の拡大――で対応する方針を示した。アクトス配合剤では、配合剤に関する特許を取得しているという。
今回FDAと合意した追加試験「EXAMINE」は、急性冠動脈症候群を発症した2型糖尿病患者を対象に、標準的治療(メトホルミン、SU薬、チアゾリジン系薬剤など)にSYR-322かプラセボを追加投与して、心血管イベントの発現を検証する多施設無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験。予定患者数は5400人で、米欧アジアの約1000施設で行う。主要評価項目は心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳梗塞のいずれかが最初に発生するまでの期間。
試験開始は09年9月、試験終了予定時期は14年12月だが、同社は追加試験の根拠となった「新規糖尿病治療薬の心血管系リスク評価についてのガイダンス」の要件を満たすデータは、統計学的に、試験開始から約2年後に得られる予定という。このため同社は、このデータを中間解析データとしてFDAに提出して承認取得を目指す。併せて14年末まで長期に安全性をみる考えだ。