外資製薬企業の24年医療用医薬品売上高上位各社の決算概況を紹介する第4回目は、13位~15位のアムジェン、ギリアド・サイエンシズ、バイエルと、高い研究開発力で知られる18位のリジェネロンを取り上げる。(全4回連載、
1回目 2回目 3回目)
【13位 アムジェン】
総売上高(医療用医薬品売上高)は前年比19%増の334.24億ドルとなり、13位だった。23年10月のアイルランドのホライゾン社買収により獲得した製品群(テッペーザ、「Krystexxa」、ユプリズナ、「Ultra rare products」)が41.73億ドル売上に寄与した。純利益は39%減の40.90億ドルで12位だった。
最主力品の骨粗鬆症に対する抗RANKL抗体・プロリア(日本商品名:プラリア)の売上は8%増の43.74億ドルと堅調だった。高コレステロール血症に対する抗PCSK9抗体・レパーサの売上は36%増の22.22億ドル、骨粗鬆症に対する抗スクレロスチン抗体・イベニティは35%増の15.63億ドル、急性リンパ性白血病に対する二重特異性抗体・ビーリンサイトは41%増の12.16億ドルといずれも2桁続伸した。
同社が創製し、アストラゼネカと提携している気管支喘息に対する抗TSLP抗体・テゼスパイアの売上は71%増の9.72億ドルと好調を持続した。23年10月のホライゾン社買収で獲得した甲状腺眼症治療薬・テッペーザの売上は18.51億ドル、痛風治療薬「Krystexxa」(ペグロティカーゼ)は11.85億ドルとなった。
2025年の総売上高は343億ドル~357億ドルを見込んでいる。25年には米国でデノスマブ製剤(プロリア(プラリア)及びXgeva(日本商品名:ランマーク))へのバイオ後続品の参入が見込まれている。
【14位 ギリアド】
総売上高(医療用医薬品売上高)は前年比6%増の287.54億ドルとなり、全体で14位だった。うち製品売上高は6%増の286.10億ドル。24年3月の米CymaBay社買収を要因に第1四半期に41.31億ドルのインプロセスR&D費を計上した結果(年間IPRD費は4.04倍の46.63億ドル)、純利益は92%減の4.80億ドルで15位だった。
抗HIV薬群の売上は8%増の196.12億ドルと総売上高の68%を占めている。中でもインテグラーゼ阻害剤(INSTI)・ビクテグラビルと核酸系逆転写酵素阻害剤(NRTI)・ エムトリシタビン及びテノホビル・アラフェナミドの配合剤・ビクタルビが13%増の134.23億ドルとなり、総売上高の47%を占めた。
大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫に対するCAR-T細胞療法・イエスカルタは5%増の15.70億ドル、乳がんに対する抗体薬物複合体(ADC)・トロデルビは24%増の13.15億ドルとなった。新型コロナ治療薬・ベクルリーは18%減の17.99億ドルだった。
2025年の製品売上高は282億ドル~286億ドルを見込む。うち、新型コロナ治療薬・ベクルリーは14億ドルを見込んでいる。
【15位 バイエル】
総売上高は前年比2%減(為替の影響を除くと1%増)の466.06億ユーロ(504.28億ドル)となり、このうち医療用医薬品売上高は0.3%増(同3%増)の181.31億ユーロ(196.18億ドル)で15位だった。純損益は25.52億ユーロ(27.61億ドル)の赤字だった。
最主力品の抗凝固薬・イグザレルトの売上は、欧州やカナダでの後発品参入の影響で、15%減の34.80億ユーロ(37.65億ドル)だった。加齢黄斑変性等の治療薬・アイリーアの売上は、日本や欧州でアイリーアの8㎎製剤が順調だったことから、2%増の33.06億ユーロ(35.77億ドル)と増収を確保した。
前立腺がん治療薬・ニュベクオは75%増の15.23億ユーロ(16.48億ドル)、2型糖尿病を合併する慢性腎臓病治療薬・ケレンディアは72%増の4.63億ユーロ(5.01億ドル)と引き続き大幅に伸長した。なお、為替レートは24年の年間平均で1ユーロ=1.082ドルだった。
2025年の総売上高は450億ユーロ~ 470億ユーロ(3%減~1%増)を予想。医療用医薬品部門は4%減~1%減(CERベース)を予想している。
【18位 リジェネロン】
総売上高(医療用医薬品売上高)は前年比8%増の142.02億ドルとなり、18位だった。純利益は12%増の44.13億ドルで10位だった。
最主力品の米国における加齢黄斑変性等の治療薬・アイリーアの売上は17%減の47.67億ドルと減少したものの、維持期における投与間隔を延長したアイリーアHD (8㎎製剤)が7.23倍の12.01億ドルとなり、2製品合計で1%増の59.68億ドルと横ばいを維持した。
同社が創製したがん免疫療法薬(抗PD-1抗体)・リブタヨのグローバル売上は41%増の12.17億ドルと好調を持続した。
また、同社創製のデュピクセントなど抗体薬に係る仏サノフィ社との提携収入は19%増の45.31億ドル、同社創製のアイリーアに係る独バイエル社との提携収入は1%増の14.99億ドルとなった。