日医・宮川常任理事 医薬品の安定供給へ「国内の製造基盤強化が不可欠」 工場の老朽化を懸念
公開日時 2025/02/20 04:50

日本医師会の宮川政昭常任理事は2月19日に開いた医薬品供給等の最近の状況に係る懇談会で、「医薬品の安定供給を確保するためには、国内の製造基盤を維持・強化することが不可欠だ」と述べた。工場の老朽化が進んでいることに懸念を示し、補助金を含めた対応の必要性を指摘した。医薬品は経済では割り切れない「人間安全保障」の問題だとして、「人間安全保障の枠組みを作り、検討すべきだと国に強く要望する」と訴えた。
◎「人間安全保障」として議論を
宮川常任理事は、現在の後発品メーカーの製造拠点は2005年の薬事法改正をきっかけに、一部の先発メーカーが売却したものと説明。「現在の後発品メーカーの工場の老朽化が進んでいるのではないか」と懸念を示した。新設には数百億の費用がかかるとして、「厚労省の支援補助金の額では全く足りない」と指摘した。24年度補正予算では、「足下の供給不安へ対応するための医薬品の増産体制整備にかかわる緊急支援」として20億円を確保したが、宮川常任理事は、「老朽化した工場一つ建て替えたら終わり」などと指摘。「継続した支援を強く要望する」とした。
農林水産省が食料の安全保障を重視し、平素からの取組みに大規模な予算を確保していることを引き合いに、「人間安全保障」として考えるべき医薬品でも必要な予算を確保する必要性を指摘。「人間安全保障の中で、薬、医療、医療技術、医療機器とすべて考えていかなければいけない。日本で基盤をいかに有効な形で構築していくかも非常に重要な課題」との認識も示した。