FDA 抗凝固薬の無効化薬剤Kcentraを承認
公開日時 2013/05/08 05:00
米食品医薬品局(FDA)は4月29日、抗凝固薬ビタミンK拮抗剤服用中の急性大出血患者に対するビタミンK拮抗剤の効果を無効化する血漿製剤Kcentra(プロトロンビン複合体濃縮製剤)を承認した。
心房細動あるいは人工弁を使用している患者は血栓予防のためにワルファリンなどビタミンK拮抗剤による抗凝固療法を受けているが、しばしば急性出血を起こす可能性がある。Kcentraは血漿のように、ビタミンK拮抗剤の抗凝固効果を無効化し出血を止めるために、ビタミンK製剤との併用が出来る。一方、血漿と異なり、血液型に関係なく、また、解凍の必要もなく凍結血漿より早く服用できる。
FDA生物製剤評価研究センター(CDER)のKaren Midthunセンター長は、「Kcentraの承認は、ビタミンK拮抗剤の抗凝固作用を緊急に無効化する必要があるときに医師に対する治療オプションを提供することになる」と同剤を評価した。そのうえで、「Kcentraの推奨用量は、血漿よりはるかに低用量でよく、ビタミンK拮抗剤の抗凝固作用を無効化するために必要とされる血漿の用量に対して忍容性がない患者に選択肢を提供する」と同剤の利点を説明した。
同剤は、指示通り服用の場合でも血栓発症の可能性があるため、血栓リスクについて枠組み警告がラベルに記載された。警告では、臨床試験などでは致命的あるいは非致命的動脈および静脈の血栓塞栓症の合併症が報告されているので、血栓塞栓症イベントの徴候・症状に監視すべきことを促している。
FDAの承認は、215例のビタミンK拮抗剤を服用して、血液凝固検査で抗凝固剤の使用が適切とされたうえで、急性大出血をした患者の試験結果に基づいた。Kcentraは、急性大出血を止血する効果は血漿と同等であることが示された。
同剤は、CSLベーリング(本社:ドイツ・マールブルク)が製造する。