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FIRM・畠会長 再生医療の規制調和へ「日本の考え広げるためにもアジアで議論」

公開日時 2022/04/11 04:49
再生医療イノベーションフォーラム(FIRM)の畠賢一郎代表理事会長(ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング)は4月8日、アジア再生医療団体連携会議(APACRM)の開催を受け、アジアでの規制調和に向けて活動を発展させる考えを示した。CAR-T製品などモダリティベースの規制調和が欧米主導で進む。一方で、基盤技術などについては規制調和が進んでいないとの見方を示し、「日本が先んじて行う規制のよい部分をより広める一つの手法として、アジアの仲間たちと議論する必要もある」と説明。APACRMの内容を論文化することなどを通じ、「考え方を欧米に対して影響力を持ってやっていければいいと思っている」と述べた。

◎ハーモナイゼーションは文言の一致ではなく「各国の背景を理解する」ことから

規制調和について畠会長は、「各国それぞれ事情があるので極端なレギュレーションのハーモナイズというより、各国の考え方を勉強させていただき、参考になるものはお互いシェアする」と説明。規制上の完全な文言の一致を図るのではなく、背景を理解する重要性を強調した。4月7日に開かれた、第5回となるAPACRMでは、「再生医療関連の規制調和を促進することで、各国・地域での試験結果等の共有化や臨床開発にかかる時間とコストの低減を目標にして、APACRMの活動をさらに発展させる」ことなどが合意された。

具体的な議論では、CAR-T製品で架空の製品を題材に、非臨床評価データパッケージについて、相違点や背景となる考え方を、アジア5か国・地域(中国、韓国、台湾、インド、日本)で議論を深めた。弦巻好恵氏(ノバルティスファーマ)は、「規制の調和には色々なステップがある。CAR-T製品の治験を実施するときに何が必要か。考え方は同じということがあることが分かった」と説明した。他国では必須とされていない試験が必須である国もあるが、ベースの考え方を確認できたことで、国際共同治験の実施がスムーズになる可能性を示した。

品質関連としては、製造工程で使用され最終製品には残らない生物由来補助材料の規制や要求事項について、欧米の状況を踏まえ、アジア6か国・地域(中国、韓国、台湾、インド、シンガポール、日本)の状況を確認し、相違点を議論した。

このほか、遺伝子関連製品を開発するうえでも環境影響評価について議論を開始。法律、条令、ガイドラインを踏まえ、今後も議論を継続することが確認された。

◎畠会長「日本の考え方は十分合理性もって通用する」

畠会長は、「再生医療の製品はどういう品質管理か。臨床試験をやるときに、どういうデータがあればいいのか。これは通常の低分子化合物を中心とした医薬品や医療機器とは違うだろうということ」と説明。「CAR-T細胞を中心として医薬品のように使われるものは欧米を中心に定まりつつある。しかし、製造方法、品質管理など細胞特有の方法に関しては議論が途上だ。品質管理、製法等、モダリティベースでない基盤技術的なところは各国定まっていない。きちっとしたルールを定めるチャンスだろう」と述べた。

そのうえで、「日本の規制当局は先んじてやってきた。日本の考え方は、十分合理性をもって通用するだろうと思っている。どう日本の考え方を広げていくかという観点で、リファレンスしながらより良いものにする。そして、アジアの仲間たちでのハーモナイゼーションは、言葉上で完全に一致させると齟齬が起きる。各国の分化、慣習を鑑みながら、深い議論をしながら、合意形成をしていくことが大変重要だ」との考えを示した。

アジアの規制調和に向けて、「話は途上だ。あくまで完成したわけではない」と説明。そのうえで、海外からの参加者が倍増していることにも触れ、今後さらに規制調和に向けた取り組みを加速する考えを強調した。

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