【World Topics】やっぱり、リバウンド
公開日時 2016/08/20 03:50
NBCテレビの人気番組に視聴者参加の減量コンテスト”Biggest Loser”がある。 参加資格は男性で体重300ポンド(136kg)以上、女性で200ポンド(91kg)以上。参加者はプロのトレーナーや管理栄養士とチームを組み期間限定で減量を競う。もっとも体重を落とした人が優勝賞金を獲得する趣向である。
http://www.nbc.com/the-biggest-loser
”Biggest Loser”番組史上最高の減量を成し遂げた記録保持者は、 430ポンドあった体重を 191ポンドまで落としたDanny Cahil氏(出演時39歳)。小学校に入ってから太り始め、太る一方で あったというDannyの、番組出演の動機は「自分の子どもが同じように肥満に悩み始めたこと」であった。
下の写真はDannyのBefore and Afterである。
だが、番組参加者13人 を6年間追跡した調査で、Dannyはじめ、ほとんどの参加者が、番組終了後にリバウンドしていることが明らかになった。 調査では、番組終了時よりもさらに減量していたのは1人だけで、あとは全員が再び肥満しており、3人は番組参加時とほぼ同じ体重に 戻っており、2人は参加時点よりも体重が増えていた。Dannyの現在の体重は265ポンド。番組終了後のリバウンドに対応するために胃バンディングの外科手術を受けた。
https://asmbs.org/patients/bariatric-surgery-procedures
研究結果が明らかにしたのは、対象者全員のメタボリズムがきわめて低いという事実で、例えばDanny は、同じ体重の一般男性に比べて1日の消費カロリーが800キロカロリーも低い。また番組終了時よりも体重を落としていた1人もメタボリズムは低く、同体重の一般の人に比べて1日の消費カロリーが500キロカロリーも低いことがわかっている。
参加者に共通のもう1つ特徴は食欲抑制ホルモンであるレプチンの欠如で、番組で急激に体重雨を落とした際に、ほぼ全員がレプチン・レベルの大幅な低下を経験しており、中には完全に失った例もあるという、そのため激しい飢餓感に苛まれていた(いる)と推測される。(医療ジャーナリスト 西村由美子)