BZ系薬剤 約2割が最高臨床推奨用量を超える処方 医療経済研究機構の研究で判明
公開日時 2015/08/24 03:50
抗不安薬や睡眠薬として多く処方されるベンゾジアゼピン(BZ)受容体作動薬について、精神科外来で処方された約2割が最高臨床推奨用量(ジアゼパムで換算)を超えていたことが、医療経済研究機構の奥村泰之主任研究員らのグループの研究で判明し、8月21日に結果概要が発表された。BZ系薬剤は、依存や骨折などの副作用の発生リスクは用量依存的に上昇するとして、高用量・多剤処方を抑える施策が必要だとしている。
研究グループは、317の調剤薬局で2011年4月から14年11月に応需された精神科 (心療内科含む) で交付された処方せん、のべ110万2575枚を分析。BZ系33剤について、1回の処方においてジアゼパム換算値で、ジアゼパムの添付文書における最高臨床推奨用量を超える処方割合の月ごとの変化を検討した。その結果、最高臨床推奨用量の2倍以内は13.3%、2倍超~3倍以内は3.7%、3倍超は2.1%で、計19.1%と約2割に上った。
分析対象とした期間中、最高臨床推奨用量を超える処方割合は減少傾向にあり、3.6ポイント減ったものの、抗不安薬、睡眠薬を一定以上処方した場合は減算する仕組みを導入した診療報酬改定以後も、減少の傾向に影響を与えていないとして、「BZ受容体作動薬の高用量・多剤処方への診療報酬改定による効果は限定的」と結論づけた。
研究グループは、「適正使用の促進のためには、減算規定等の規制だけではなく、高用量・多剤処方の発生予防と減薬法への支援が必要」と指摘。睡眠薬の減薬ガイドラインでは、漸減法・隔日法、認知行動療法、補助的薬物療法、心理的サポートを実施することが推奨されているとして、「こうした減薬法を無理なく実施できるよう推進することが課題」だとしている。