中間選挙大敗でどうなるオバマケア?
公開日時 2014/11/12 03:50
11月4日の中間選挙で、共和党は、上院、下院、州知事選挙から地方自治体選挙にいたるまで全米で 圧勝し、2007年1月以来はじめて上院での多数議席を回復するとともに、下院でも 民主党との差をひろげ、議席数を増やして多数派を維持した 。
共和党の圧勝=上下両院での圧倒的多数議席の確保で気になるのはオバマケアの行方だ。本誌でもくりかえし報じてきたとおり、オバマ大統領の医療改革、いわゆるオバマケアは、終始一貫、上下両院での多数議席を背景にした民主党の強硬採決で成立させた経緯があるからだ。
還元すれば、共和党は一度もオバマケアを支持していないばかりか、オバマケア法案成立直後から「やがては廃案に追い込む」との声が共和党議員の間で少なからず聞かれたからである。
実施、中間選挙前の世論調査はいずれのメディアも「オバマケアが有権者の投票行動をどう左右するか?」に集中し、「オバマケアに対する意見、姿勢が投票に影響すると思いますか?」と聞かれた有権者の過半数が支持政党にかかわらず「影響する」と回答してきたからだ。
だが、実は 今回の中間選挙に対する米国の世評は「争点なき選挙」で一致。確かに、これといって白熱した議論なく投票日を迎えた、ある意味で盛り上がりのない選挙であった。
敢えて争点を探しても、せいぜい所得格差是正のための高額所得層への課税強化、移民法の改正問題あたりで、いずれも庶民の生活実感とはほど遠い問題。唯一、オバマケアだけが国民誰しもが語れるテーマであったというのが実情で、投票前の世論調査がオバマケアに集中したのはそのためだとの評がもっぱらである。
実際、選挙後、ウォールストリートジャーナルも、ワシントンポストも、ニューヨークタイムズ等々全国メディアは、共和党が圧倒的多数を占めてもオバマケアが完全に覆るとは予想していない。
若干の修正案が決議される可能性はあるが(審議中の「雇用主が医療保険を給付する義務を負う『フルタイム』の再定義をめぐる」改正案は廃案になるのではないかと言われている)、政府主管のオンライン医療保険販売サイト”Exchange”はそのまま存続するとみられている。11月15日にスタートする”Exchange”に関するメディアの関心は、”Exchange”の存続如何ではなく、もっぱら システムのチューニング(昨年のような不具合なしに登録を受け付けられるか) に集中している。(医療ジャーナリスト 西村由美子)