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薬食審・第一部会 新薬5製品の承認了承 ファイザーのてんかん重積状態に対する治療薬など

公開日時 2018/08/31 03:52

厚労省の薬食審医薬品第一部会は8月30日、新薬として5製品の承認の可否を審議し、全て承認することを了承した。この中には厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」を経て同省の要請を受けて開発された、ファイザーのてんかん重積状態の治療薬とEAファーマの小児用量を設定した慢性便秘症の治療薬がある。これら5製品は9月下旬にも正式承認となる見通し。

承認が了承された製品は次のとおり。

【審議品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
ロラピタ静注2mg(ロラゼパム、ファイザー):「てんかん重積状態」を効能・効果とする新投与経路医薬品。再審査期間6年。
 
てんかんの重積状態は、発作が繰り返されたり、一定時間以上続いたりする状態を指す。海外の治療ガイドラインでは、同剤が第一選択薬という。日本てんかん学会から、てんかん重積状態の治療薬として開発するよう要望を受けて厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」が検討し、開発の必要性が高いと判断、同省の開発要請を受けてファイザーが開発した。海外でてんかんの重積状態が承認されているのは2017年4月現在、米国、カナダ、ドイツ、アイルランド、イタリア、英国、オーストリアの7か国。同成分としては抗不安薬ワイパックス錠(ファイザー)がある。
 
モビコール配合内用剤(マクロゴール4000/塩化ナトリウム/炭酸水素ナトリウム/塩化ナトリウム、EAファーマ):「慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)」を効能・効果とする新医療用配合剤。再審査期間6年。
 
ポリエチレングリコール製剤で、腸管内の浸透圧制御を行なうことで排便を促す。小児の便秘では、浸透圧性下剤から治療を開始することが原則とされている。同剤は、2歳から7歳未満の幼児、7歳以上12歳未満の小児、12歳以上のそれぞれの用法・用量が設定された。海外では、12歳以上では37か国、小児用製剤としては28か国で承認済。
 
日本小児栄養消化器肝臓学会から同剤の開発要望を受け厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」が検討し、開発の必要性が高いと判断、同省の開発要請を受けてEAファーマと持田製薬が共同開発した。承認されれば販売も共同で行う。
 
ベオーバ錠50 mg(一般名:ビベグロン、杏林製薬):「過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁」を効能・効果とする新規有効成分含有医薬品。再審査期間8年。
 
膀胱のβ3受容体に作用し、膀胱弛緩作用で症状を改善する選択的β3アドレナリン受容体作動薬。1回50mg、1日1回投与。米メルクが創製し、杏林が日本での独占的開発・製造販売権を取得し、開発してきた。杏林は泌尿器が重点領域。海外での承認はない(2018年5月現在)。
 
エイベリス点眼液0.002 %(オミデネパグ イソプロピル、参天製薬):「緑内障・高眼圧症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。
 
参天が宇部興産から導入し、共同で開発。選択的プロスタノイドEP2受容体に作用して、房水流出を促し、眼圧を低下させるという。1回1滴、1日1回点眼。海外での承認はない(2017年11月現在)。
 
メトアナ配合錠LD、同配合錠HD(アナグリプチン/メトホルミン塩酸塩、三和化学研究所):「2型糖尿病(ただし、アナグリプチン及びメトホルミン塩酸塩の併用による治療が適切と判断される場合に限る)」を効能・効果とする新医療用配合剤。再審査期間4年。
 
DPP-4阻害薬スイニー錠(アナグリプチン)とメトホルミン塩酸塩を配合したもので、アナグリプチン100mgに、メトホルミンはLDで250mg、HDで500mg。海外では2018年6月現在、両成分の配合剤が韓国で承認されている。
 
DPP-4阻害薬とメトホルミンを配合した薬剤は、これまでにエクメット配合錠(ビルダグリプチン/メトホルミン塩酸塩、ノバルティス)、イニシンク配合錠(アログリプチン安息香酸塩/メトホルミン塩酸塩、武田薬品)がある。承認されれば3製品目となる。
 
【報告品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
報告品目は医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。
 
ラグノスNF経口ゼリー分包12g(ラクツロース、三和化学研究所):「慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)」を効能・効果に追加し、用法・用量を定め、12g製剤を追加する新効能・新用量・剤形追加に係る医薬品。再審査期間なし。
 
既存製品はラグノスゼリー分包16.05gで適応は、高アンモニア血症に伴う精神神経障害、手指振戦、脳波異常の改善と、産婦人科術後の排ガス・排便の促進。12g製剤はこれらに適応を追加するもの。浸透圧性下剤。用法・用量は成人のみ。
 
ドブトレックス注射液100mg(ドブタミン、共和薬品)
▽ドブトレックスキット点滴静注用200mg、同点滴静注用600mg(同、共和薬品)
▽ドブタミン点滴静注液100mg「ファイザー」(同、マイラン製薬)
▽ドブタミン点滴静注液200 mgキット「ファイザー」、同点滴静注液600 mgキット「ファイ
ザー」(同、マイラン製薬)
:「心エコー図検査における負荷」を効能・効果に追加し、用法・用量を定める新効能・新用量医薬品。再審査期間なし。
 
厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で、追加する適応の公知申請が妥当と判断され、医薬品部会の事前評価を経て公知申請していたもの。
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