厚労省は8月30日に新薬の承認の可否などを検討する薬食審・医薬品第一部会を開催する。杏林製薬が承認申請した過活動膀胱治療ベオーバ錠(一般名:ビベグロン)など新薬として5製品の承認の可否を審議する。この中には厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」を経て同省の要請を受けて開発された2製品があり、ファイザーが申請したてんかん重積状態の治療薬とEAファーマが申請し慢性便秘症の治療薬も審議する。
【審議予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
▽ベオーバ錠50 mg(一般名:ビベグロン、杏林製薬):過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁を対象疾患とする新規有効成分含有医薬品。
膀胱のβ3受容体に作用し、膀胱弛緩作用で症状を改善する選択的β3アドレナリン受容体作動薬。1日1回投与。米メルクが創製し、杏林が日本での独占的開発・製造販売権を取得し、開発してきた。杏林は泌尿器が重点領域。
▽ロラピタ静注2mg(ロラゼパム、ファイザー):てんかん重積状態を対象疾患とする新投与経路医薬品。
日本てんかん学会からのてんかん重積状態の治療薬として開発するよう要望を受けて厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」が開発の必要性が高いと判断、同省の開発要請を受けてファイザーが開発した。同成分としては抗不安薬ワイパックス錠(ファイザー)がある。
▽エイベリス点眼液0.002 %(オミデネパグ イソプロピル、参天製薬):緑内障・高眼圧症を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。
参天が宇部興産から導入し、共同で開発。参天は、選択的にEP2受容体に作用して眼圧下降作用を示すとしている。1日1回点眼。
▽メトアナ配合錠LD、同配合錠HD(アナグリプチン/メトホルミン塩酸塩、三和化学研究所):2型糖尿病を対象疾患とする新医療用配合剤。
DPP-4阻害薬スイニー錠(アナグリプチン)とメトホルミン塩酸塩を配合したもので、治験では、スイニーまたはメトホルミンのいずれかの単独投与による治療で十分な効果が得られない患者を対象に実施した。
▽モビコール配合内用剤(マクロゴール4000/塩化ナトリウム/炭酸水素ナトリウム/塩化ナトリウム、EAファーマ):慢性便秘症を対象疾患とする新医療用配合剤。
ポリエチレングリコール製剤で、腸管内の浸透圧制御を行なうことで排便を促す。厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で、開発の必要性が高いと判断され、同省の開発要請を受けてEAファーマと持田製薬が共同開発した。承認されれば販売も共同で行う。
【報告予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
報告品目は医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。
▽ラグノスNF経口ゼリー分包12g(ラクツロース、三和化学研究所):慢性便秘症を効能・効果に追加し、用法・用量を定め、12g製剤を追加する新効能・新用量・剤形追加に係る医薬品。
既存製品はラグノスゼリー分包16.05gで適応は、高アンモニア血症に伴う精神神経障害、手指振戦、脳波異常の改善と産婦人科術後の排ガス・排便の促進。
▽ドブトレックス注射液100mg(ドブタミン、共和薬品)
▽ドブトレックスキット点滴静注用200mg、同点滴静注用600mg(同、共和薬品)
▽ドブタミン点滴静注液100mg「ファイザー」(同、マイラン製薬)
▽ドブタミン点滴静注液200 mgキット「ファイザー」、同点滴静注液600 mgキット「ファイ
ザー」(同、マイラン製薬)
:心エコー図検査における負荷を効能・効果に追加し、用法・用量を定める新効能・新用量医薬品。
厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で、追加する適応症の公知申請が妥当と判断され、医薬品部会の事前評価を経て公知申請していたもの。