薬食審・第一部会 2製品の適応追加了承 ボトックスに国内初の「痙攣性発声障害」を追加
公開日時 2018/05/01 03:50
厚労省の薬食審医薬品第一部会は4月27日、新薬2製品の適応追加を承認することを了承した。具体的には、A型ボツリヌス毒素のボトックス注用に痙攣性発声障害の適応を、JAK阻害薬ゼルヤンツ錠に潰瘍性大腸炎の適応を、それぞれ追加する。1か月後を目途に正式承認される見通し。
【審議品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
▽ボトックス注用50単位、同100単位(A型ボツリヌス毒素、グラクソ・スミスクライン):「痙攣性発声障害」の効能・効果を追加する新効能・新用量医薬品。再審査期間4年。
痙攣性発声障害の適応を持つ初の薬剤となる。同剤の痙攣性発声障害に対する作用機序は、神経伝達物質であるアセチルコリンの放出抑制による筋弛緩作用によるものと考えられている。
痙攣性発声障害は内喉頭筋の不随意かつ断続的な痙攣による発声障害を生じる疾患で、国内患者数は4000~8000人程度とされる。9割以上を占める内転型のほか、外転型、両方を併せ持つ混合型に分類される。内転型には外科的治療があるが、外転型に対する外科的治療は確立していない。
海外では17年10月現在、痙攣性発声障害の効能・効果でオーストラリアなど10か国で承認されているが、欧米では承認されていない。
▽ゼルヤンツ錠5mg(トファシチニブクエン酸塩、ファイザー):「中等症から重症の潰瘍性大腸炎の寛解導入及び維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)の効能・効果を追加する新効能・新用量医薬品。再審査期間4年。
炎症性疾患、自己免疫の病因と関連があるとされるJAK依存性サイトカインを阻害するJAK阻害薬。JAK阻害薬として初めての潰瘍性大腸炎治療薬となる。
臨床上はレミケードやヒュミラなど抗TNF製剤と同じような位置づけとなり、既存治療で効果不十分な中等症から重症の潰瘍性大腸炎に対する治療選択肢のひとつとなる。海外では18年3月現在、潰瘍性大腸炎の適応で承認されている国はない。