中医協総会 後発医薬品銘柄指定4割超 昨年度から倍増の“異常事態”で議論
公開日時 2015/10/08 03:52
中医協総会が10月7日開かれ、厚労省側から後発医薬品の使用促進策の影響、実施状況調査結果が報告され、後発医薬品の銘柄指定が昨年度調査の22.8%から倍増の44.8%となったことを支払側が問題視した。支払側の白川修二委員(健康保険組合連合会副会長・専務理事)は、調査結果を「異常事態だ」と指摘。これに対し、診療側の中川俊男委員(日本医師会副会長)は、「後発品の銘柄指定は、なんでもいいということではない。責任をもって後発品の銘柄を指定している」と述べ、医師の処方権を強調するなど、激しい応酬がみられた。
◎処方権、調剤権の範囲が議論に
白川委員は、医師側の後発医薬品の銘柄指定を問題視し、「薬局、卸にも影響を与えている。後発医薬品使用促進の阻害になっている。中医協で一般名処方をどう促進するか議論すべきか問題提起したい」と述べた。さらに、「中医協では、一般名処方を進行させてそれをベースに薬局でどの薬剤を選ぶかというのは先発品、後発医薬品というだけでなく、患者さんの体調、個性を考えて相談して決めていこうという流れを想定している。その流れからすれば、薬剤師が最後は調剤するかを決めていただければ。現在の医師と薬剤師の役割から考えればそうなるべきだと信じている。銘柄を指定されるということは、薬剤師にとっては患者さんと相談して調剤する権利を失うということ」と述べた。
これに対し、中川委員は、医師の処方権を強調し、「服薬管理はかかりつけ医の役割。全くの間違いだ」、「医師は患者さんの状態を見て信念で銘柄を決め、処方している」などと応酬した。さらに、医師と薬剤師の職能の観点から、「かかりつけ医とかかりつけ薬剤師の考えから違う」と述べ、白川委員に発言を撤回するよう再三迫った。
これに対し、白川委員は、「複数の医療機関を受診するなかで、かかりつけ薬剤師が色々な患者さんの体調を見たり飲み合わせをみたりして決めている。そのために薬剤師という資格がある」との考えを表明。「医師の処方権と薬剤師の調剤権は独立してあるべきだと信じている」と強調した。
診療側の安部好弘委員(日本薬剤師会常務理事)は、「患者の希望を聞き、調剤している」と述べ、あくまで患者の希望による後発医薬品の銘柄決定をしているとのスタンスを強調した。一方で、銘柄指定された結果、「備蓄がなく、取り寄せるために患者を待たせることになった」との回答が58.5%にのぼったことを引き合いに、薬局側の対応の難しさを強調。アムロジピンではOD錠なども含めれば100種類以上の薬剤があることや、特定の地域だけで頻繁に使用されている後発医薬品についての対応が難しいことを指摘し、「どういう方策があるのかということについては議論が必要だ」と述べた。
そのほか、支払側の花井十伍委員(日本労働組合総連合会「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)は、後発医薬品の品質や賦形剤などを検討し、医師が銘柄指定を行われているのかを問題視。「ちゃんとした必要に応じてこの数になっていないのではないか。ほかの要因でなっているのではないか」と医師側の銘柄指定の理由を問うた。その上で、患者調査でも約3割が効果の減弱を経験していることに触れ、「処方権に基づいて医師が避けるということはある。この数がそういう話であれば、生物学的同等性が疑われる。今の話では、ジェネリック推進策が間違っているということになってしまう」と述べた。