FDA 嚢胞性線維症治療薬Kalydecoを承認
公開日時 2012/02/07 04:00
米食品医薬品局(FDA)は1月31日、嚢胞性線維性膜貫通調節因子(CFTR)遺伝子におけるG551D変異のある嚢胞性線維症(CF)治療薬Kalydeco(ivacaftor)を承認した。適応対象は6歳以上の患者。
CFは、最終的には早死を招来する肺および他の臓器へ影響を及ぼす重篤な遺伝子疾患。塩化物イオンや体内の水分の輸送を調整するCFTRと呼ばれるタンパクをコードする遺伝子の変異が原因となっている。塩化物や水分の輸送の障害が、肺、消化管などで多量の粘液を形成、粘液が器官を閉塞させることなどによって、肺では呼吸困難など機能に障害をもたらす。
米国では3万人がCFに罹患していると言われ、白人ではよくみられる致命的遺伝子疾患だ。CFの4%、1200人がG551D遺伝子の変異を持つと言われている。
同剤の有効性・安全性は、48週間を観察期間とし、合計213例のプラセボ対照比較試験2件で検証された。1件の試験では12歳以上の患者、もう1件では6歳から11歳の患者を対象とした。2件の試験とも、Kalydeco投与群では、肺機能の改善を有意に維持した。
FDAのMargaret A・Hamburg長官は、同剤が特定遺伝子を持った患者を治療する個別化医療の卓越した実例と指摘したうえで、「Kalydecoの承認を導いたユニークかつ互恵的な協力関係は、企業と患者団体が医薬品開発に協力すると成しうる大きな成功モデルとなった」と企業と患者団体の同剤開発への努力を評価した。
同剤はバーテックス・ファーマシューティカルズ(マサチューセッツ州ケンブリッジ)の製造。