ロゼッタと国がん中央病院 医師主導治験の CSR自動作成ツールを開発 文書作成のAI化でコスト削減も
公開日時 2025/03/25 04:51
AI翻訳サービスを開発・提供するロゼッタは3月24日、国立がん研究センター中央病院と共同で、「医師主導治験の CSR(治験総括報告書)自動作成ツール」を開発したと発表した。両者は24年4月から生成AIを活用した治験関連文書の自動作成に関する研究に取り組んでおり、このほど文書自動作成の基盤となるアーキテクチャが完成し、プロンプト設計も約 7 割まで進捗した。同社は、引き続き精度向上を図るとともに、その他の治験関連文書(治験実施計画書、同意説明文書等)についても、自動作成の取り組みを進めることにしている。
共同研究に際しては、ロゼッタのAIエンジニアと、国立がん研究センター中央病院のメンバー(スタディマネージャー、モニター、データマネージャー、生物統計家)から構成されるプロジェクトチームを発足。ロゼッタが開発した独自の大規模言語モデル(LLM)アーキテクチャを用い、検索拡張生成(Retrieval Augmented Generation:RAG)の手法によって、過去の医師主導治験のプロトコールや解析レポート、CSR を参照しながら文書のドラフトを自動作成した。これにより・CSRの章ごとに発生する様々な差違に対応した最適な変換プロセスおよび言語モデルをおよそ生成することができたという。
◎国がん中央病院・中村国際開発部門長「治験にかかるリソース、コストを大幅に削減し得る」
国⽴がん研究センター中央病院国際開発部門の中村健部門長は、「今回の治験関連文書の自動作成は治験にかかるリソース、コストを大幅に削減し得る取り組みで、今回の共同研究で、医師主導治験の CSR 自動作成ツールの実用化に向けて、一定の目途を示せたことは大きな成果だと考えている」と強調。「今後はこのツールについてさらに精度を向上させるとともに、研究計画書や説明同意文書など他の治験関連文書についても自動作成を進めることで、臨床試験・治験実施プロセスの大幅な迅速化・効率化を図っていきたい」と述べた。