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HIMSS 医療特化マルチモーダルAI エージェントAIに熱視線 注目はマイクロソフト「Dragon Copilot」

公開日時 2025/03/11 04:52
米国ネバダ州ラスベガスで3月6日まで開催されたHIMSS Global Health Conference and Exhibitionでは、医療分野に特化した「マルチモーダルAI」、「エージェント型AI」の最新バージョンが紹介され、参加者の関心を集めた。米・マイクロソフトは3月3日、HIMSSの開幕にあわせて統合音声AIアシスタント「Microsoft Dragon Copilot」を発表した。Dragon Medical One (DMO)の自然言語音声入力機能と、DAX Copilot(DAX)の環境音声認識機能および生成AI機能を組み合わせたもの。診療中の会話でリアルタイムの診察記録を自動作成するほか、紹介状の自動作成やガイドラインや患者履歴の即時提示など、様々な業務を支援する。このほか、Google はマルチモーダルAI、セールスフォースはエージェント型AIを各社の展示ブース(Photo:HIMSS)で公開し、デモンストレーションを通じて参加者と熱い意見交換が行われていた。(米・ラスベガス発 森永知美)

◎「Microsoft Dragon Copilot」音声認識、即時応答 薬剤関連GL・規制情報にも対応

マイクロソフトの「Microsoft Dragon Copilot」は、医師と患者の会話中に異なる話者の発話をリアルタイムで分類しながら瞬時にテキスト化し、その内容を電子カルテ(EHR)や記録システムに即時に反映させることができる。また、診察記録やサマリー、紹介状などを自動作成する。このほか、口頭による質問や指示に即時応答し、信頼できるコンテンツソースからのガイドライン、薬の相互作用といった該当情報を画面に表示する。

診察中に即時処理、解析、応答し、診療や業務フローが円滑化することで、医師は業務負担が軽減し、患者とのコミュニケーションにより集中できるようになる。医師と患者双方において様々なケア環境での体験と転帰が向上すると期待される。

これらの新機能は、Microsoft Cloud for Healthcareの一部として、安全なデータ基盤の上に構築されており、医療分野に特化した臨床、チャット、コンプライアンスの各種保護機能を組み込むことで、AIの出力が正確かつ安全であることを確保しているという。またAIの開発と活用を導くために、同社の責任あるAI原則(透明性、信頼性と安全性、公平性、包括性、説明責任、プライバシー、セキュリティー)に準拠していると強調している。

今回のHIMSSにおいて同社は、医療業界におけるAIの新たな可能性を示し、今後の医療サービスの質と効率の向上に貢献することを目指す方針を明示した。5月から米国とカナダでリリースされ、その後、英国、ドイツ、フランス、オランダでも順次展開される予定。ただ、日本への導入は現段階で未定としている。

◎Google 医療向け「Vertex AI Search」の生成AI機能に画像データ検索「Visual Q&A」を追加

HIMSS期間中にGoogle Cloudは、2024年3月にリリースした医療向け「Vertex AI Search」の新たな生成AI機能として、画像データ検索「Visual Q&A」を追加したと発表した。新しいマルチモーダル検索機能で、医療データの約90%を占めるチャートや表、画像などの視覚的なデータを、テキストに変換することなく直接入力として受け取ることが可能になる。

昨年12月に発表した最新の大規模言語モデルGemini 2.0にもサポートされており、以前のバージョンより高速且つ正確なパフォーマンスが得られるという。同社は、これにより医療従事者は患者の健康状態をより包括的に把握出来るようになると強調している。

◎セールスフォースは「Agentforce for Health」 AIの“自律”動作でヒトの介入は最小化

米・セールスフォースは、医療業界向けにエージェントのスキルとアクションを予め構築した新しいライブラリ「Agentforce for Health」を2月28日に発表した。自律的に動作できるエージェント型AI(Agentic AI)を採用しており、人間の介入を最小限に抑えながら業務を自動化できる。

Agentforceは患者と直接チャットし、好みや地理的な場所に基づいて保険適用内の医師とマッチングさせ、適切な医師が特定されると予約スケージュール設定を支援するほか、診察後の継続的なサポートも行う。ケアコーディネーター向けには患者の包括的な情報(病歴、紹介状、ケアギャップ、診察要約、保険給付情報など)を提供したり、保険会社との自動コミュニケーションによる患者の保険適用確認や、疫学者向けの感染症追跡支援、臨床試験の患者マッチングの高速化など、多岐に渡った支援を実現するという。

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