旭化成 スウェーデン・Calliditas社の買収完了 100%連結子会社に 米腎領域でのプレゼンス拡大へ
公開日時 2024/09/04 04:51
旭化成は9月3日、スウェーデンの製薬企業カリディタス社(Calliditas Therapeutics AB)の株式公開買付けを完了したと発表した。これに伴い、カリディタス社はスウェーデン法に従って実施するスクイーズアウト手続きをへて、旭化成の100%連結子会社になる。旭化成の工藤幸四郎代表取締役社長は「腎疾患領域における専門性と販売力を有するカリディタス社の買収によって、米国の医薬事業を腎移植から腎疾患領域に拡大させることができ、ヘルスケア領域のさらなる利益成長を実現できると確信している」と抱負を述べた。
◎旭化成・米国子会社Veloxis社とのシナジーに期待 グローバルスペシャリティファーマに進化
カリディタス社は、スウェーデン・ストックホルムに本社を置く製薬企業。米国市場では疾患進行リスクがある原発性IgA腎症治療薬Tarpeyoを販売している。旭化成の米国子会社Veloxis社は腎移植に用いる免疫抑制剤Envarsus XRを展開しており、シナジーが期待される。旭化成は、「カリディタス社が保有する事業資産や人財の活用によってポテンシャルを最大限に活かし、グローバルスペシャリティファーマとしての進化を加速できると考えている」としている。
旭化成はカリディタス社買収を5月28日に発表。発表時の会見で工藤社長は日本と米国の医薬事業を統合する「One AK(Asahi Kasei) Pharma体制」への移行を掲げ、2025年度末までに旭化成ファーマと米国Veloxis社の医薬事業を完全統合する方針を説明。ワントップ体制への移行や米国へのヘルスケア領域の本部設置を進めることで、グローバル経営体制の下でカリディタス社の成長や腎疾患領域のプレゼンス拡大へ意欲を示していた。
今回の株式公開買付けは7月18日から8月30日まで実施。買付け価格は1株当たり208スウェーデンクローナ(日本円で約2956円)、米国預託証券の1株当たり416スウェーデンクローナで、下限応募株式数であるカリディタス社の発行済普通株式総数の90%超を超えたため成立した。応募株式の買付け資金は約105億スウェーデンクローナ(約1490億円)だった。