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大塚製薬・渡邊事業開発部長 ジュナナ社の低分子創薬を自己免疫疾患に集中 グループ内シナジーに期待

公開日時 2024/08/05 04:51
大塚製薬の渡邊武事業開発部長は8月2日、米・ジュナナ社買収に関する記者会見で、同社が開発したフェニルケトン尿症(PKU)の低分子阻害剤「JNT-517」について2025年にも第3相臨床試験に入る見通しを明らかにした。試験デザインなど詳細は合併手続き完了後に行うとしながらも、「単剤、併用の両方での使用が可能な形で開発を進めていくのが望ましいと考えている」と述べた。また、「ジュナナ社の研究プラットフォームは全て低分子創薬が困難な自己免疫疾患に集中させている」と強調。2018年に買収したビステラ社と同じ米ボストンに拠点を構えるジュナナ社が、「両社の高いレベルでの科学的交流によって、双方の技術レベル、科学レベルの引き上げがさらに図られる」と強い期待感を表明した。

大塚製薬が買収したジュナナ社(米ボストン)は、低分子創薬が困難だった自己免疫疾患領域や一部の希少疾患に対する創薬技術を有する企業。すでに難創薬ターゲットと言われる腎臓でのアミノ酸の再吸収を制御するタンパク質に対する低分子阻害剤「JNT-517」の開発に成功している。同剤はPKU領域でファーストインクラスになるとも期待されている薬剤だ。

◎PKUに対する低分子阻害剤「JNT-517」 25年中の第3相臨床試験入りに期待

この日の会見で渡邊事業開発部長は中等度から重症のPKU患者を対象とした「JNT-517」のフェーズ1b/2試験の結果に触れ、「4週間の血中フェニルアラニン濃度をエンドポイントとした臨床試験において、75mg 1日2回投与でベースラインのフェニルアラニン濃度を51%減少(p=0.0019 vs placebo)させた」と報告。ここまでの試験結果から、「良好な忍容性、安全性を示した。他の用量の試験データは、今年中(2024年後半)に学会で報告させていただく予定」と説明した。さらに、今後の開発スケジュールについて、「ジュナナ社と協議しているところ。合併手続きを経てから決める」と述べながらも、25年中の第3相試験開始に向けてジュナナ社が規制当局と交渉を進めていると明かした。渡邊事業開発部長は、「単剤での使用はもちろんのこと、既存薬クバンとの併用も考えられる。臨床試験も単剤、併用の両方での使用が可能な形で開発を進めていくのが望ましい」との見解を示した。

◎自己免疫疾患における低分子創薬の可能性に期待 グループ内シナジーの発揮も

ジュナナ社買収で期待されるのが自己免疫疾患における低分子創薬の可能性だ。同社はすでに、インターフェロン産生のマスター転写因子である Interferon regulatory factor 3(IRF3) 等の創薬難易度の高い標的に対する活性化合物を獲得している。渡邊事業開発部長は、「IRF3に関しては、SLE等を中心した1型インターフェロン系の疾患群がまず対象になる」と見通した。また、2018年に大塚製薬が買収したビステラ社の自己免疫抗体群と、ジュナナ社の自己免疫疾患低分子群を合わせて、「幅広い標的に対する自己免疫のフランチャイズが形成可能と考えている」と強調。大塚グループ内での創薬シナジーへの期待として、「アステックス社に蓄積された構造情報、それからタンパク構造と低分子とのインタラクションを描き出す技術をジュナナ社に投入することで、さらに一段のプラットフォームの発展を見込める」と語った。


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