Amazonは7月23日、東京都内で記者会見を開き、「Amazonファーマシー」の始動を発表した。日本国内でオンライン服薬指導から処方薬の配送までのサービスが利用できるというもの。Amazonショッピングアプリ上で、電子処方箋をアップロードし、薬剤師による服薬指導を受けた後に、自宅などで処方薬受け取ることができる。同サービスはアインホールディングス（HD）、ウエルシアHD、クオールHDなど９つのグループ薬局で、全国の薬局約2500店舗に対応する。アマゾンジャパン消費財事業本部の前田宏統括事業本部長バイスプレジデントは、「生活の利便性をさらに高める新しいサービス。慢性疾患で薬の切り替えが少ない方や、子どもや高齢者など外出が難しい方などにメリットを感じていただきたい」と強調した。

前田統括事業本部長はサービスの利点について、Amazonショッピングアプリから利用できるため、待ち時間なし、登録料なしで、「お客様ファーストの理念に基づき、これまで同様のアプリで使っていただける。今後もヘルスケアのニーズに応じたサービスの向上に努めていきたい」と強調した。

◎メドレーの診療アプリとも連携　診療から薬の配送まで一気通貫で対応も可能に

利用の流れは、Amazonショッピングアプリから「Amazonファーマシー」のトップページへ遷移。薬局を選んで、医療機関から交付された電子処方箋を画像で送る。予約した日時に薬剤師によるオンライン服薬指導を受け、自宅などへの配送か店舗受け取りで薬を受け取る。サービス利用者の情報はアプリ上のプロフィールで管理し、1アカウントで家族などを含めた10人までプロフィールを登録できる。また、メドレーが提供している患者向け総合医療アプリ「CLINICS」とも連携し、診療から薬の配送までオンライン上で一気通貫して利用することもできる。

◎アインやウエルシア、クオールなど9つのグループ薬局で利用可能

利用できる薬局は7月23日のサービス開始時点で、▽アインホールディングス（HD）▽ウエルシアHD▽クオールHD▽新星堂薬局▽中部薬品▽トモズ▽ファーマみらい▽薬樹▽ユニスマイル―の各グループ薬局。Amazonによると、薬局側からの初期費用や月額などの定期費用などは設定せず、患者側の手数料でまかなう仕組み。前田氏は「薬局の規模に関わらず、賛同いただける薬局と今後もパートナーシップを広げていきたい」と話した。

なお、配送方法は通常のAmazonによる配送ではなく、薬局側が手配する。温度管理や麻薬・向精神薬など、流通上の管理が必要な薬剤は、薬局側が店舗での受け取りを判断する場合があるとしている。

◎オンライン服薬指導　薬剤師の働き方にもメリット　プライバシーの不安も解消

記者発表会に登壇した長久堂野村病院（広島市）の荒川隆之薬剤科長は、「Amazonファーマシーをきっかけに、多くの人たちがオンライン服薬指導などに関心を持ち、医療DXが進んでほしい。薬剤師の働き方にとっても、調剤業務と切り分けることで服薬指導に集中できたり、ライフスタイルに応じた働き方が選べたりとメリットがある」と期待。女優の瀬戸朝香さんは「待ち時間なく、プライバシーも気にせずに利用できて不安解消につながる」と歓迎した。