非ステロイド型選択的ミネラルコルチコイド受容体（ＭＲ）拮抗薬・フィネレノンと、アゾール系抗真菌薬のポサコナゾール及びボリコナゾールとの併用を禁忌とする添付文書改訂が行われた。厚生労働省医薬局医薬安全対策課が６月11日、課長名で添付文書改訂を指示したことを受けたもの。

フィネレノンの市販後に、フィネレノンとポサコナゾール又はボリコナゾールの薬物相互作用試験成績など追加のデータはないものの、ポサコナゾール又はボリコナゾールによるCYP3Aの強い阻害によりフィネレノンの血中濃度が上昇し、副作用の発現が懸念されることから、使用上の注意を改訂することが適切と判断された。なお、フィネレノンは既にアゾール系抗真菌薬のイトラコナゾールと併用禁忌となっている。

このほかブリモニジン酒石酸塩含有製剤や、カルグルミン酸の添付文書改訂も行われた。

添付文書の改訂指示があった医薬品は次の通り。

【フィネレノン並びにポサコナゾール及びボリコナゾール】
▽①フィネレノン（ケレンディア錠、バイエル薬品）
②ポサコナゾール（ノクサフィル錠、同点滴静注、MSD）
③ボリコナゾール（ブイフェンド錠、同静注用、同ドライシロップ、ファイザー　等）

改訂概要：
①の医薬品について、「禁忌」の項に「ポサコナゾール、ボリコナゾールを投与中の患者」を追記する。「併用禁忌」の項に「ポサコナゾール、ボリコナゾール」を追記する。
②と③の医薬品について、「禁忌」の項に「フィネレノンを投与中の患者」を追記する。「併用禁忌」の項に「フィネレノン」を追記する。

改訂理由：フィネレノンは、承認審査の過程において、強いCYP3A4阻害剤との併用は禁忌とすることが妥当と判断されている。また、ポサコナゾール及びボリコナゾールはCYP3Aを強く阻害することが知られている。フィネレノンの市販後にフィネレノンとポサコナゾール又はボリコナゾールの薬物相互作用試験成績など追加のデータはないものの、ポサコナゾール又はボリコナゾールによるCYP3Aの強い阻害によりフィネレノンの血中濃度が上昇し、副作用の発現が懸念されることから、使用上の注意を改訂することが適切と判断した。

なお、フィネレノンとポサコナゾール又はボリコナゾールの併用を禁忌とすることの医療現場への影響について、関連学会に意見を聴取し、特段の問題はないことを確認した。

【ブリモニジン酒石酸塩含有製剤】
▽①ブリモニジン酒石酸塩（製品名：アイファガン点眼液、承認取得者：千寿製薬　等）
②ブリモニジン酒石酸塩・チモロールマレイン酸塩（アイベータ配合点眼液、千寿製薬）
③ブリモニジン酒石酸塩・ブリンゾラミド（アイラミド配合懸濁性点眼液、千寿製薬）
④リパスジル塩酸塩水和物・ブリモニジン酒石酸塩（グラアルファ配合点眼液、興和）

改訂概要：
①③④の医薬品について、「重要な基本的注意」の項に角膜混濁に関する注意喚起を追記する。「重大な副作用」の項を新設し、「角膜混濁」を追記する。
②の医薬品について、「重要な基本的注意」の項に角膜混濁に関する注意喚起を追記する。「重大な副作用」の項に「角膜混濁」を追記する。

改訂理由：角膜混濁関連症例を評価した。症例の因果関係評価及び使用上の注意の改訂要否について、専門委員の意見も聴取した結果、ブリモニジン酒石酸塩含有製剤と角膜混濁との因果関係が否定できない症例が集積したことから、使用上の注意を改訂することが適切と判断した。

角膜混濁関連症例の国内症例の集積状況：
①の医薬品と事象との因果関係が否定できない症例９例（２例は承認効能・効果外又は承認用法・用量外の症例）。うち死亡との因果関係が否定できない症例０例。
③の医薬品と事象との因果関係が否定できない症例３例。うち死亡との因果関係が否定できない症例０例。
②④は０例。

▽カルグルミン酸（カーバグル分散錠、レコルダティ・レア・ディジーズ・ジャパン）
改訂概要：「用法及び用量に関連する注意」の項に中等度以上の腎機能障害患者において本剤の開始用量を減量する旨を追記する。「特定の背景を有する患者に関する注意」の項に「腎機能障害患者」の項を新設し、「中等度以上（eGFR＜60mL/min/1.73m2）の腎機能障害患者」を追記する。

改訂理由：腎機能障害者を対象とした本剤の臨床薬理試験結果を評価した。専門委員の意見も聴取した結果、腎機能正常者と比較して中等度及び重度の腎機能障害者で本剤の曝露の増加がみられたことから、使用上の注意を改訂することが適切と判断した。